【規格違反】RAVPower 29W モバイルバッテリー RP-PB186 レビュー

RAVPowerブランドのUSB PD 29W対応10000mAhモバイルバッテリー「RP-PB186」を購入したので、レビューを行います。

要約

RAVPower RP-PB186は少なくとも以下の点についてUSB Type-CやUSB Power Deliveryの規格・仕様に違反しています。

  • USB PDの5V出力 (Fixed Supply PDO) が2.4Aになっている
  • USB PDの12V出力 (Fixed Supply PDO) が2.0Aになっている
  • 最大29W出力 (PDP Rating 29W) の場合に必須となる15Vの出力に対応していない
  • Qualcomm Quick Charge 2.0/3.0等に対応している

これらが機器の故障など致命的な事態を招く可能性は低いと思われますが、充電できない・充電が遅い等の事象が起きる場合があります。

開封・製品外観

  • RAVPower PD Pioneer 10000mAh 29W 2-Port Power Bank
  • Model: RP-PB186
  • Battery Capacity: 10000mAh/36.3Wh
  • Min Battery Capacity: 9700mAh/35.2mAh
  • PD Input: 5V==3A, 9V==2A, 12V==1.5A, 18W Max
  • PD Output: PD 3.0 5V==3A, 9V==3A, 12V==2A, 14.5V==2A
  • iSmart Output: QC3.0/2.0 5V==3A, 9V==2A, 12V=1.5A
  • Total Output: PD 18W + iSmart 5V==2.1A (Each Port) Total 29W Max
  • Rated Capacity: 2100mAh/30.45Wh 14.5V==2A Li-ion 2INR21/70
  • JP Importer: 株式会社SUNVALLEY JAPAN
  • EU Importer: ZBT International Trading GmbH
  • Address: Holstenbeker Weg 98C, 25462 Rellingen, Deutschland
  • Manufacturer: Shenzhen NearbyExpress Technology Development Co., LTD.
  • Address: 333 Bulong Road, Shenzhen, China, 518129
  • Made in China
  • SN: 0S3NGJJQ
  • PSEマーク: あり (丸形 / 届出事業者名→??)

USB Standard-Aポート

RAVPower RP-PB186のUSB-Aポートは

  • USB BC 1.2 DCP
  • Apple 2.4A
  • Qualcomm Quick Charge 2.0/3.0

に対応している模様です。 (HUAWEI SCPとSSCPも検出していますが、恐らく誤検出)

Samsung AFC

HUAWEI FCP

あまり信用はできませんが、急速充電トリガー機能を使ったところSamsung Adaptive Fast ChargingとHUAWEI Quick Charge (Fast Charge Protocol) でもVBUSの電圧が12Vまで昇圧したため、恐らくこの2種にも対応していると思われます。 (この手の製品はQC3.0に対応していたらAFCとFCPにも対応している場合が多い)

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USB Type-Cポート

USB PD

RAVPower RP-PB186のSource_Capabilitiesメッセージは上記の通りで、PDOは「5.0V/2.4A」「9.0V/3.0A」「12.0V/2.0A」「14.5V/2.0A」でした。

RP-PB186のUSB-Cポートは単独で使用した場合最大29W出力であるため、USB PDのパワールール上、少なくとも「5.0V/3.0A」「9.0V/3.0A」「15.0V/1.93A」には必ず対応していなければなりません。また、Optional PDOである12.0Vと14.5Vについてもパワールールには必ず準拠している必要があります。

しかしながら実際には上記のような仕様となっており、

  • 5Vの最大電流が3A未満
  • 12Vの最大電流が2.5A未満
  • 15Vの出力が丸々欠けている

という点でパワールールに準拠していないため、「他のACアダプタ・モバイルバッテリーでは充電できるのに、RP-PB186では充電されない・充電が遅い」といった事象が起きる場合があります。

また、RP-PB186のUSB-Cポートは充電にも使用されるDual Role Powerなはずですが、DRPのビットが1にセットされていない点も気になります。

USB PD以外の充電規格

RAVPower RP-PB186のUSB-Cポートは

  • USB BC 1.2 DCP
  • Apple 2.4A
  • Qualcomm Quick Charge 2.0/3.0
  • HUAWEI Quick Charge (FCP)
  • Samsung Adaptive Fast Charging (AFC)

に対応している模様です。 (USB-Aポートと同じく、恐らくHUAWEI SCPは誤検出)

なお、Quick Charge等の「USB以外の充電規格」をUSB-C製品に対応させることは厳密には規格違反です。

iPad Pro 11 (2018)

iPad Pro 11を接続したところ、14.5V/2AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約29Wが供給されていました。

ThinkPad Yoga 370

ThinkPad Yoga 370に接続したところ、14.5V/2AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約27Wが供給されていました。

Pixel 3

Pixel 3を接続したところ、9V/3AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約16Wが供給されていました。

OnePlus 7

OnePlus 7を接続したところ、5V/2.4AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約12Wが供給されていました。

本来であれば5V/3Aでネゴシエーションが行われて約15Wが供給されるはずですが RP-PB186はパワールール準拠しておらず約12Wでの充電となるため、規格通りの製品で充電した場合と比べて充電速度が遅くなります。

Nextbit Robin

USB PD非対応・Quick Charge 2.0対応のNextbit Robinを接続したところ、約9V/1.5Aが供給されていました。 (QC2.0充電)

USB-A&USB-C 同時使用

2ポート同時使用時の注意点

RAVPower RP-PB186は1ポート単独使用か2ポート同時使用かによって最大出力が変わる仕様となっています。そのため、何らかのデバイスを着脱する度に出力がリセットされます。

例えば、

  1. USB-Cポート単独でノートPCを充電 (最大29W)
  2. USB-Aポートにスマホを接続
  3. USB-Cポートがリセット (Hard Reset) されて再度ノートPCが充電され始める (最大18W)

といった感じです。

毎度リセットされるのは不具合ではなく仕様なので、2ポート同時利用を考えている方は予め留意してください。

USB-Aポート

怪しい基板 (USB PDトリガー基板) をUSB-Cポートに挿して擬似的に2ポート同時使用状態にしたところ、USB-Aポートの対応規格はApple 2.4A (とUSB BC 1.2 DCP) のみになりました。2ポート同時利用時のUSB-Aポートは最大5V/2.1A出力であると外装には記載されていますが、それと一致していません。 (2W弱の違いなので現実的に何か問題となる可能性は低いとは思いますが)

USB-Cポート

2ポート同時使用時のSource_Capabilitiesメッセージは上記の通りで、PDOは「5.0V/2.4A」「9.0V/2.0A」「12.0V/1.5A 」「14.5V/1.0A」でした。

5V PDOの最大電流が2.4Aな点がパワールール違反ですが、一応全てのPDOが18Wには収まっており、定格以上の出力を通知するような危険な仕様にはなっていないようです。

また、2ポート同時使用状態でもQC3.0等は利用できる模様です。

負荷テスト

5V

9V

12V

14.5V

RAVPower RP-PB186の過電流保護は電圧に関わらず一律で約3.5Aの模様で、3.5Aも流すと29Wをオーバーすることになる12Vや14.5Vの場合では出力がシャットダウンされるよりも前に過負荷で電圧が乱高下する状態が発生しました。

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充電

RAVPower RP-PB186をAnker A2015113で充電したところ、9V/3AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約20Wが供給されていました。

外装の表記では「PD Input: 5V==3A, 9V==2A, 12V==1.5A, 18W Max」となっていますが、それと一致していません。

RAVPower RP-PB186をXioami CDQ02ZMで充電したところ、12V/3AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約20Wが供給されていました。

外装の表記では「PD Input: 5V==3A, 9V==2A, 12V==1.5A, 18W Max」となっていますが、それと一致していません。

所感

現状、数多くのサードパーティUSB PD製品が規格に準拠しておらず、何も考えずに適当に選ぶと高確率で規格に準拠していないものを引いてしまうわけですが、このRAVPower RP-PB186もその1つです。

USB PDで29W出せてUSB-Aポートもあって3000〜4000円程度で買えるということでスペックだけは魅力的ですが、実際はパワールールガン無視だわ外装の表記と実装が噛み合ってないわ、到底オススメはできません。

この記事について

この記事で使用しているRAVPower RP-PB186は、Amazon.co.jpのマーケットプレイス販売者「Sunvalley Brands Gazietto」から、当サイトの管理人が購入したものです。 (購入元URL)

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記事で使用している機器

  • メディアロジック USB Power Delivery アナライザ DTW2U3 (製品ページ)
  • AVHzY CT-2 / Kotomi Premium (レビュー記事)
  • POWER-Z KM001C
  • USB Type-C to USB Type-C ケーブル (eMarkerなし)