ACアダプターが対応している急速充電規格を検出したり、対応するUSB PDの電圧・電流の組み合わせを表示することのできるAVHzY CT-3 (Shizuku) を購入したので、機能や使い勝手などを簡単にレビューします。
AVHzY CT-3とは
AVHzY CT-3はUSB電力メーター (USB Power Meter、略してUPM) の1種です。1000〜2000円ぐらいで電圧と電流を表示するだけのUSB型テスターが売られていますが、あれのめっちゃ多機能版となります。
以前、AVHzYはCT-2というUSB電力メーターを販売していたのですが、CT-2は廃盤となり、CT-3がその後継モデルということのようです。
開封・付属品
バラしてみる
基板上にShizukuの刻印があることから分かりますが、AVHzY CT-3の実態はYK-LabのShizukuというUSB電力メーターです。前モデルのCT-2もYK-LabのKotomi Premiumが名前を変えて販売されていたものですが、CT-3も同様のようです。
YK-Lab Shizukuが別名で販売されている例としては、AVHzY CT-3の他にPOWER-Z KT002が挙げられます。
AVHzY CT-3ができること
VBUSの電圧・電流の測定
言うまでもない気もしますが、AVHzY CT-3はVBUS (USBで電力供給に使用されるピン) の電圧や電流を測定することができます。
急速充電規格の検出
ACアダプターやモバイルバッテリーに接続して、対応している急速充電規格を検出することができます。
検出可能な急速充電規格は以下の通りです。
- USB Battery Charging DCP
- USB Power Delivery
- Apple 1.0A/2.1A/2.4A
- Qualcomm Quick Charge 2.0/3.0 Class A/B
- Samsung 5V 2A
- Samsung Adaptive Fast Charging
- HUAWEI Quick Charge
- HUAWEI SuperCharge 22.5W (多分40Wも)
- OPPO VOOC / OnePlus Dash Charge / OnePlus Warp Charge 30
- OPPO SuperVOOC
- MediaTek PumpExpress
急速充電トリガー
急速充電規格を検出するだけでなく、実際にトリガー (有効化) することも可能です。
USB PD PDO読み取り
恐らくこの機能を目当てにする人が1番多いんじゃないかと思いますが、ACアダプターやモバイルバッテリーが送信するSource_Capabilitiesメッセージをデコードし、PDOを表示することが可能です。
簡易USB PDアナライザー
ACアダプターとデバイスの間に挟むことにより、そこを流れるUSB PDのパケットをキャプチャーすることができます。
もちろん、数万円するUSB PDアナライザーと比較するとデコードできるメッセージの種類が少なかったりするのであくまで簡易的な用途にとどまりますが、お遊びでちょっと使う分には十分な機能を有しています。
eMarker読み取り
USB Type-Cケーブルに内蔵されているeMarkerと通信を行い、eMarkerの内容を表示することができます。
Apple USB-C電源アダプタのシリアルナンバーを解読
Apple純正USB-C電源アダプタにiPadやMacBookを接続するとApple Alternate ModeでACアダプターのシリアルナンバーやモデル名がiPad・MacBookに伝達されますが、AVHzY CT-3はそのApple Alternate Modeをデコードし、その中でやり取りされているシリアルナンバーやモデル名を表示することができます。
何の役に立つのかは不明です。
AVHzY CT-2とCT-3の違い
前モデルのAVHzY CT-2 (Kotomi Premium) を持っている人も結構いると思いますが、CT-2を持っている人が気になるのが「CT-2とCT-3ってどれぐらい違うの? 買い換える価値ある?」というところだと思います。
正直に言うと、CT-2を持っているのであればCT-3は買わなくて良いと思います。
もちろんCT-3の方が全体的に機能が強化されています。例えばこの2枚の写真はOnePlus Warp Charge 30 ACアダプターの充電規格を検出させた時のものですが、CT-3はWarp Chargeを検出しているのに対して、CT-2はUSB BC DCPしか検出できていません。
この他にも、例えば本体の向きに応じてディスプレイの表示が180°回転するようになっているとか、検出・トリガーできる充電規格がちょっと増えているとか、USB PDアナライザーとして使った時の使い勝手が良くなっているとか、色々と改良はされています。しかし、あくまでベースはCT-2で、それの改良版がCT-3という印象です。どちらも「できること」にそこまで大きな差はありません。
そんな感じなので、CT-2とCT-3を比べたらCT-3のほうが良いのは間違いないですが、「買い換えるほどではないなー」というのがCT-2とCT-3を両方使った感想です。
まとめ : 1台持っているとかなり便利
VBUSの電圧や電流を表示するだけでなく、ACアダプターやモバイルバッテリーが対応している急速充電の規格を検出したり、USB PDのPDOを確認したり、USB Type-CケーブルのeMarkerを読み取ったりと、様々な場面で活躍してくれるUSB電力メーターです。
USB PDアナライザー機能もあるので、「何ボルト何アンペアでネゴシエーションしているんだろう」みたいな時に、やりとりされている実際のUSB PDのパケットをキャプチャーして確認することもできます。
約7000円なので「気軽に買える」と言うにはちょっとお高いですが、1台持っておくと色々な用途に使えてかなり便利なツールとなっています。
AVHzY CT-3のファームウェアやPC用ソフトウェア、マニュアルなどはここで公開されています。 https://forum.avhzy.com/forum.php?mod=viewthread&tid=190