USB Power Deliveryの規格をざっくり解説

USB Power Delivery (USB PD)という規格を初めて知った方向けに、概要やメリットをざっくり解説してみます。

USB Power Deliveryとは

Universal Serial Bus Type-C Cable and Connector Specification Release 1.3

USB Power Deliveryとは「USBでの電力供給に関する規格」で、最大100Wの給電が可能となっているのが特徴です。

USB Type-Cより前のUSB規格では最大でも7.5Wが上限でしたが、それと比較すると13倍超という、非常に大きな電力を供給できる規格となっています。

「最大100W」であり、全てのUSB PD対応機器が100Wに対応しているわけではありません

USB PDを利用できる機器

USB PDで充電可能なMacBookのUSB-Cポート

USB PDは、「USB PDに対応したUSB Type-C (USB-C) ポートを搭載した機器」のみで利用することができます。

見た目が同じUSB Type-Cポート同士であっても、USB PDに対応しているものとしていないものがあるので注意しましょう。

USB PDのメリット

メリット1:充電器が共通化

Anker PowerPort Speed PD 60 (レビュー記事)

USB PDの1番のメリットは、「ACアダプタが共通化する」という点です。

今までのノートPC・Android端末・iPhone/iPadは端子の形状や充電時の電圧が異なっており、ACアダプタを使い回すことはできませんでした。特にノートPCは「同じメーカーの機種なのに端子の形が違う」なんてこともしばしばあり、ほぼ使いまわしの出来ない、非常に無駄の多い部分でした。

しかしながら、USB Type-CやUSB PDという共通の規格が策定されたことにより、対応している機器同士であれば、ACアダプタを使い回すことができるようになりました。

USB PDが普及することによって、「ACアダプタ1つでスマホもPCも何でも充電できる」という未来も夢ではなくなってきています。

メリット2:ケーブル1本で充電&映像出力

ノートPCで長時間作業する場合、ACアダプタや外部モニター、マウス、キーボードなどを接続する方も多いと思います。しかしながら、多数のケーブルをいちいち抜き差しするのは非常に面倒です。

こういった状況も、USB Type-C・USB PDが解決してくれるかもしれません。USB Type-Cには「Alternate Mode」という拡張規格があり、これに対応していると「USB Type-Cポートから、USB以外の規格の信号を流す」という訳の分からないことをすることができます。

最近はそのAlternate Modeを利用した「USB Type-C搭載モニター」が増えてきており、Alternate Modeに対応しているPCであれば「ケーブル1本で充電&映像出力」が可能となります。

USB PDの注意点

注意点1:すべての機器が対応しているわけではない

USB PDはUSB Type-Cを採用している機器のみで使用することができますが、「USB Type-C=USB PD対応」ではない点には注意が必要です。

USB PDはあくまでUSB Type-Cのオプション規格であり、「必ず対応していなければならない規格」ではありません。

そのため、USB Type-CであってもUSB PDに対応していない機器は普通に存在しています。

注意点2:必要な電力は機器によって異なる

USB Type-C・USB PDが普及することによって、ACアダプタ1つでスマホもPCも何でも充電できる状況ができつつありますが、ACアダプタの最大出力には注意が必要です。

例えば、60WのACアダプタが付属してくるノートPCに30WのACアダプタを繋いだ場合、電力が足りず「充電しているのにバッテリーが減っていく」なんてことが起きる場合があります。

また、「出力が小さすぎて電源OFF時すら充電されない」という場合もあります。ノートPCの多くは「充電に必要な最低限の電力」が決められていて、それに満たない電力しか出力できないACアダプタでは充電できない場合があるため、注意が必要です。

大体は45W出力できれば充電を受け付けてくれる機種が多いので、ノートPCを充電するのであれば最低でも45Wを出力できるACアダプタをオススメします。 (中には60W以上を必要とする機種もあるので、購入前によく確認してください)

注意点3:ケーブルが2種類ある

USB Type-C to Type-Cのケーブルには「3A対応」と「5A対応」の2種類があります。 (データ転送速度も考慮するともっと種類がありますが、ここでは割愛します)

USB PDでは、3Aより大きい電流を流す場合には「ケーブルが5Aの電流に対応しているか」というチェックが入り、もし5A対応でない場合は出力が3Aまでに制限されます。例えば、MacBook Pro 15に付属してくるACアダプタは87W (20V/4.3A) 出力ですが、5A対応ケーブルを使用しないと出力が60W (20V/3A) に制限されます。

そのため、MacBook Pro 15などの61W以上を消費するデバイスを充電する場合には「USB PD 100W対応」とか「5A対応」と謳われているケーブルを使用することをオススメします。

※「USB PD非対応」と謳われているケーブルもありますが、あれはメーカーが勝手に言っているだけであり、USB Type-C・USB PDの規格的には「3A対応ケーブル」に該当します。そのため、ちゃんと規格通りに設計・製造されていれば「USB PD非対応」とされているケーブルであってもUSB PDが動作します。

ちょっと詳しい説明

USB PDの給電能力について

USB PDは、原則として以下の「Power Rules (パワールール)」という仕様に沿って行われます。

Power Rules
5V 9V 15V 20V
0~15W 最大3A 必須ではない 必須ではない 必須ではない
15~27W 最大3A
27~45W 最大3A
45~60W 最大3A
60~100W 最大5A

60Wまでは所定の電圧で最大3Aまで出力し、60Wより大きい場合にのみ最大5Aの給電を行う、というのが基本的な仕様となっています。

Revision 1.0

上記のPower RulesはUSB PD Revision 2.0/3.0で使用されているものであり、Revision 1.0ではPower RulesではなくProfileという仕様が使われていました。

Profile
5V 12V 20V
Profile 1 (~10W) 最大2A なし なし
Profile 2 (~18W) 最大1.5A
Profile 3 (~36W) 最大3A
Profile 4 (~60W) 最大5A 最大3A
Profile 5 (~100W) 最大5A

Rev 1.0とRev 2.0/3.0では使用する電圧が異なっており、Rev 1.0の12VはRev 2.0で9Vと15Vの2つに分かれました。しかしながら、Profileに沿って設計・製造された機器はごく少数であり、現在発売されている機器のほとんどはPower Rulesに基づいて設計・製造されているため、基本的に気にする必要はありません。

また、一部のサイトでは「USB PDは5V・12V・20Vの電圧で~」といった解説がされていますが、その情報はRevision 1.0に基づく古いものであるため、注意しましょう。

Type-C以外でのUSB PD

過去のUSB PD規格 (Rev 1.0/2.0) では、Type-CでのUSB PD以外にも、いわゆるレガシー端子でのUSB PDも規定されていました。

しかしながら、結局レガシー端子でのUSB PDに対応した機器が一般向けに販売されることはなく、その後策定されたUSB PD Rev 3.0ではレガシー端子でのUSB PDに関する記述が削除されているため、現在では名実ともに「USB PDはType-C専用」という状況となっています。

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