GPD PocketのUSB Type-Cポートの仕様を調べてみた

イマイチ挙動が怪しいGPD PocketのUSB Type-Cポートを、USB PDアナライザを使って調べてみました。

充電 (電源オフ)

GPD Pocketが電源オフの場合には、USB PDによる充電は行われない模様です。

確認してみると、約11W (5V/2.2A) の電力が供給されているものの、ACアダプタ側が送り続けているUSB PDの信号にGPD Pocketは一切応答していませんでした。 (=非USB PD充電)

充電 (電源オン)

付属ACアダプタ

電源オンの状態で付属のACアダプタを接続した場合、12V/2AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、実際には約18Wの電力が供給されていました。

Anker A2014112

電源オンの状態でAnkerのA2014112を接続した場合、9V/3AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、実際には約18Wの電力が供給されていました。

電力出力

vRd

まずはvRdを調べてみました。

vRdというのはSink (受電側の機器) が接続されている状態の時のCCの電圧のことで、Sinkが「この電源はどれぐらいの出力に対応しているのか」ということを判別するのに使われます。

で、そのvRdは以下の通りでした。

vRdの区分は以下の通りとなっています。

Universal Serial Bus Type-C Cable and Connector Specification, Rev. 1.3

今回の場合ではCC1の電圧 (0.90V) がvRdなので、Sinkからは「5V/1.5Aの出力に対応した電源である」と認識されます。逆に言えば、GPD Pocketは接続している機器に対して「5V/1.5Aを出力できる」と通知していることになります。

USB PDの通信

次に、USB PDの通信を確認してみました。

GPD Pocketが送信しているSource_CapabilitiesメッセージのPDOは、5V/0.5Aでした。

実際の出力

電子負荷を接続して、実際にどの程度まで出力できるのかテストしてみました。

その時のVBUSの電圧と電力は以下のグラフの通りでした。

一見して、負荷が増すほど電圧が降下していることが分かります。

接続している機器の安定動作を考えると4.5Vぐらいが下限だと思うので、4.5W (4.5V/1A) がGPD PocketのUSB Type-Cポートの最大出力と考えておいた方が良さそうです。

DisplayPort Alternate Mode

GPD PocketのUSB Type-CポートはDisplayPort Alternate Mode (DP over USB-C) に対応しています。 (USB Type-Cポートの横にもDPのロゴが印刷されてる)

ハブを使った場合の挙動が怪しい

出力が弱い

上に書きましたが、GPD PocketのUSB Type-Cポートは約5Wが出力の限界であるため、ハブに機器を接続するなどして瞬間的に出力が足りなくなると、「落ちる→再接続→落ちる」というのを繰り返しました。

ハブ経由で充電するとUSB PDの通信がおかしくなる?

自分でも原因を特定できていないのですが、とりあえずうちの環境ではDR_SwapもしくはPR_Swapを行った後に、GPD PocketのSource・Sinkの振る舞いがおかしくなっていることを確認しています。 (電源はAnker A2014112)

DR_Swap時のおかしな通信 (GPD Pocket)

DR_Swap時の正常な通信の例 (Mi Notebook Air 12.5)

PR_Swap時のおかしな通信 (GPD Pocket)

PR_Swap時の正常な通信の例 (Mi Notebook Air 12.5)

このおかしな通信との因果関係は不明ですが、GPD Pocketに接続してアレコレ試しているうちにUSB PDハブが1台壊れました。

私の他にハブが壊れたという報告は見ないので運が悪かっただけかもしれませんが、壊れても良い方以外はハブ経由の充電は試さないほうが良いと思います。 (USB PD対応のハブは割と高いので……)

所感

電源オフ時にはUSB PDで充電できなかったり、出力が弱かったり、vRdとSource_CapabilitiesメッセージのPDOが矛盾していたりと、あまり設計が良くないです。

この有様ではハブを繋ぐ気にもなれないので、「一応USBポートとしても使える充電用ポート」ぐらいに思っておくことにします。

使用機材