4万円ちょっとで買えるLGの32インチ4Kモニター「32UL500-W」を購入して3ヶ月ほど使ったので、使用感をざっとレビューします。
スペック
LG 32UL500-Wの公称スペックは以下の通りです。
画面サイズ | 31.5インチ (32インチ) |
---|---|
解像度 | 3840 x 2160 px |
パネル種類 | VA |
表面処理 | ノングレア |
色域 | sRGB カバー率 98% DCI-P3 カバー率 95% |
入力 | HDMI x2 DisplayPort x1 |
出力 | 3.5mm イヤホンジャック |
スピーカー | あり (5W + 5W) |
重量 | 5.3kg (モニター部のみ) 6.2kg (スタンド込み) |
保証 | 3年間 (バックライト含む) |
ソース | LG |
32インチ4Kモニターのエントリーモデルとして標準的なスペックで、ノングレアのVAパネルとなっています。規格としてのHDR (HDR10) には対応しているものの、上位モデルのようにDisplayHDR 400やDisplayHDR 600といったスペックには対応していません。
入力端子はHDMIが2つ、DisplayPortが1つ備えられており、PCの他にゲーム機などを接続することも可能です。音質には期待できませんがスピーカーも一応備えており、一般的なモニターが装備しているものは一通り揃っています。
開封・組み立て

32インチという大きさなだけあって、その梱包もかなり大きいです。上に乗っている赤い箱はOnePlus 7Tというスマホの箱なのですが、比べるとその大きさが何となく伝わるのではないでしょうか。



LG 32UL500-Wの付属品は以下の通りです。
- スタンド
- HDMIケーブル
- DisplayPortケーブル
- ACアダプター
- よく分からんソフトウェアのインストールCD
- 説明書
- 保証書
- キャリブレーションレポート
スタンド・VESAマウント



LG 32UL500-Wのスタンドは、入門機によくある「とりあえず立てられればOK」的なものです。腐ってもLGのモニターなので倒れるような不安定さはありませんが、机がちょっと揺れただけで画面がブルブル振動します。 (地震が来たらすぐに気が付く)
スタンドの機能としては以下のものに対応しています。
- チルト (仰角調整) …… -5°〜15°
- 水平調整 …… -3°〜3°
- スイベル (左右方向の角度調整) …… 非対応
- ピボット (90°回転させるやつ) …… 非対応
- 高さ調整 …… 非対応
画面の角度を微調整する以外に、例えば向きや高さを変えることはできません。大型なので頻繁に横に向けたり (スイベル) 、90°回転 (ピボット) させる人はあまりいないと思いますが、高さをどうにかしたい場合はモニターアームを使う必要があります。

出入力端子

LG 32UL500-Wの背面には
- HDMI x2
- DisplayPort x1
- イヤホン出力 (3.5mmステレオジャック)
- (電源IN)
が用意されています。HDMIも2つありますし、大体の人は足りるんじゃないでしょうか。
イヤホン・スピーカー
LG 32UL500-Wのイヤホン出力・スピーカーはどちらも酷いです。スピーカーからはほとんど雑音のような音が再生され、イヤホンジャックからは大量のホワイトノイズが出力されます。
一応音は出るものの正直使い物にならないので、外付けのスピーカーなどを用意することをオススメします。
表示品質

LG 32UL500-WのパネルはVAです。VAパネルはコントラストに優れると良く言われますが、体感としても確かに良いと感じます。IPSパネルなiPad Pro 11 (2018) やEIZO EV2450と比べると黒が締まっていると感じます。
また、LG 32UL500-Wは全体的に発色が濃い目です。↑の写真だとあまりうまく表現できていませんが、iPad Pro 11 (2018) やEIZO EV2450と比較して間違いなく濃く発色しています。

そして、色の正確性には期待しないほうが良いです。キャリブレーターを持っていないので具体的な数値は出せませんが、例えば↑のスマートフォンの写真では、iPadの表示と比べて背景の白い壁紙が赤っぽく表示されています。

付属してきた出荷時キャリブレーション報告書を確認したところ、Delta E < 5という緩い基準でキャリブレーションされているようでした。そもそもこんな紙ペラ1枚の信用性などあってないようなものですが、これでキャリブレーション済みを謳うのは詐欺に近い気がします。

また、視野角は良くありません。この写真はモニターから70cmぐらいの距離から撮影したものですが、中央と比べて両サイドが白っぽいのが分かるかと思います。もちろんバックライト漏れ・ムラの影響もありますが、1m以内の距離で使うと、どの部分を見るか (中央かそれ以外か) で微妙に違って見えます。
32インチ4Kはどのランクのものを買うべきか
2020年3月時点での32インチ4Kモニターは、大きく3つの価格帯に分けられます。
- 4〜5万円: 入門モデル (VAパネル・HDRに一応対応)
- 6〜8万円: 中級モデル (VAパネル・DisplayHDR 600に対応)
- 10万円〜: 高級モデル (IPSパネル)
で、どの価格帯のモデルを買うべきなのか、という話ですが、個人的には入門モデルもしくは10万円超のIPSパネルを使ったモデルをオススメします。逆に、6〜8万円ぐらいの中級モデルはあまりオススメしません。
なぜかと言うと、中級モデルも入門モデルと同じVAパネルだからです。店頭で見比べてみましたが、視野角的には入門モデルも中級モデルも同じでした。
中級モデルはDisplayHDRに対応していることをウリにしているものが多いです。DisplayHDRに対応している製品は色域やコントラスト比などが保証されるため、確かにHDRコンテンツはより楽しむことができるでしょう。
ただ32インチというサイズの制約上、最大輝度やコントラストなどがどうのこうのと言う前に、視野角の狭さの方が気になる人が多いのではないかと思います。テレビのようにある程度距離を離して使うならともかく、普通のモニター的に1m以内に置いて使うとなると、32インチVAパネルは視野角的にやや厳しい、というのがLG 32UL500-Wを使った感想です。
なので32インチ4Kモニターは、中途半端に高いVAパネルな中級モデルを買うのであれば、割り切って5万円以下の入門モデルにするか、思い切って10万円超のIPSパネルなモデルにするかのどちらかをオススメします。
まとめ
LG 32UL500-Wは32インチという大画面であり、発色も鮮やかであるため、映像を観るのに適しています。ただしスピーカーやイヤホン出力はショボいので、音声はスピーカーやヘッドフォンで再生するよ、という人に適しているモニターです。
また、ゲームをするのにも割と向いていると思います。もちろん、FPSなどを本気でプレイするのであれば120Hz以上で応答速度も速いちゃんとしたゲーミングモニターを買うべきですが、普通に使っていて気になるレベルの遅延や残像感はないので、RPG等であれば問題なく使えるでしょう。やはりゲームは大画面の方が楽しいです。
その一方で、IPSパネルと比較した場合のVAパネルの視野角の狭さはやはりありますし、色の正確性という点でもこのモニターは優れているとは言い難いので、写真の現像をはじめとするクリエイティブ用途にはオススメしません。そういった用途に使うのであれば、ちゃんとキャリブレーションされているIPSパネルのモニターをオススメします。
Good👍
- 有名メーカー製32インチ4Kモニターとしては安価
- 4Kならではの高精細さ
- 高コントラスト
- 鮮やかな発色
Bad👎
- 鮮やかではあるが正確ではない発色
- TNパネルほどではないが、狭い視野角
- 高さの変えられないスタンド
- しょぼすぎるスピーカー・イヤホン出力
上にも書きましたが、中途半端にお金を出して6〜8万円のVAパネルの中級モデルを買うのであれば、このLG 32UL500-Wを買って、浮いたお金を別のことに使ったほうが幸せになれるんじゃないかなと思います。
色々コストカットされているので割り切りは必要ですが、コンテンツ鑑賞用としては悪くないモニターです。32インチ4Kの大画面・高精細というメリットを十分に体験することができます。