CIOブランドのUSB PD 65W ACアダプター CIO-G65W2C1Aを購入したので、簡単にレビューします。
レビューしている製品
この記事でレビューしているのは以下の製品です。
開封・重量・外観
パッケージに含まれているのはACアダプター本体と説明書のみで、ケーブルは付属しません。
重量は実測で107gでした。 (公称110g)
65W GaN Power Adapter
Model: LILNOB-C2A165W
Input: 100-240V〜50/60Hz, 1.5A Max
USB-C1/C2 Output: 3.3V〜11V⎓3A, 5V/9V/12V/15V⎓3A, 20V⎓3.25A (65W Max)
USB-A Output: 4.5V⎓5A, 5V⎓4.5A, 9V⎓3A, 12V⎓2.5A, 20V⎓1.5A (30W Max)
USB-C1+USB-C2 Output: 45W+18W=63W
USB-C1+USB-A Output: 45W+18W=63W
(USBA/C2 Output: 5V⎓3A or 9V⎓2A or 12V⎓1.5A)
USB-C2+USB-A Output: 5V⎓3A (15W Max)
USB-C1+USB-C2+USB-A Total Output: 45W+5V⎓3A=60W
Made in China
ひし形PSEマーク / UL Japan / 株式会社CIO
USB PD・急速充電規格
各ポートの使用状況によってSource_CapabilitiesメッセージのPDOや、その他利用できる急速充電規格がどのように変化するか調べました。
使用しているツールは↓です。
USB-C1・USB-C2 単独使用
USB-C1ポートまたはUSB-C2ポートを単独で使用した場合は以下の充電規格に対応します。 (USB-C1の写真しか載せていませんがC2も全く同様の結果でした)
- USB PD
- 5V⎓3A (Fixed)
- 9V⎓3A (Fixed)
- 12V⎓3A (Fixed)
- 15V⎓3A (Fixed)
- 20V⎓3.25A (Fixed)
- 3.3V〜11V⎓5A (PPS)
- USB BC DCP
- Apple 2.4A
- Qualcomm Quick Charge 2.0/3.0 (Class B)
- Samsung Adaptive Fast Charging
- HUAWEI FCP
- HUAWEI SCP
製品の外装にはPPSは最大3Aと記載されていますが、実際のPDOは5Aとなっています。製品の仕様ぐらいちゃんと書いてくれ。
3Aケーブルを使用した場合は最大3Aに制限されます。
USB-A 単独使用
USB-Aポートを単独で使用した場合、以下の充電規格に対応します。
- USB BC DCP
- Apple 2.4A
- Qualcomm Quick Charge 2.0/3.0 (Class B)
- Samsung Adaptive Fast Charging
- HUAWEI FCP
- HUAWEI SCP
USB-C1 + USB-C2 同時使用
USB-C1ポートとUSB-C2ポートを同時使用した場合、各ポートの出力は以下の通りとなります。
USB-C1ポートは以下の充電規格に対応します。
- USB PD
- 5V⎓3A (Fixed)
- 9V⎓3A (Fixed)
- 12V⎓3A (Fixed)
- 15V⎓3A (Fixed)
- 20V⎓2.25A (Fixed)
- 3.3V〜11V⎓4A (PPS)
- 3.3V〜21V⎓2A (PPS)
- USB BC DCP
- Apple 2.4A
- Qualcomm Quick Charge 2.0/3.0 (Class B)
- Samsung Adaptive Fast Charging
- HUAWEI FCP
- HUAWEI SCP
USB-C2ポートは以下の充電規格に対応します。
- USB PD
- 5V⎓3A (Fixed)
- 9V⎓2A (Fixed)
- 12V⎓1.5A (Fixed)
- 3.3V〜5.9V⎓3A (PPS)
- 3.3V〜11V⎓2A (PPS)
- USB BC DCP
- Apple 2.4A
- Qualcomm Quick Charge 2.0/3.0 (Class A)
- Samsung Adaptive Fast Charging
- HUAWEI FCP
USB-C1 + USB-A 同時使用
USB-C1ポートとUSB-Aポートを同時使用した場合、以下のような出力になります。
USB-C1ポートが対応する急速充電規格は、USB-C2ポートを同時使用している時のUSB-C1ポートと同じです。 (写真省略)
USB-Aポートは以下の充電規格に対応します。
- USB BC DCP
- Apple 2.4A
- Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class A)
- Samsung Adaptive Fast Charging
- HUAWEI FCP
USB-C1 + USB-C2 + USB-A 同時使用
USB-C1ポート、USB-C2ポート、USB-Aポートを全て同時使用した場合、各ポートは以下の出力に対応します。
USB-C1ポートは以下の充電規格に対応します。
- USB PD
- 5V⎓3A (Fixed)
- 9V⎓3A (Fixed)
- 12V⎓3A (Fixed)
- 15V⎓3A (Fixed)
- 20V⎓2.25A (Fixed)
- 3.3V〜11V⎓4A (PPS)
- 3.3V〜21V⎓2A (PPS)
- USB BC DCP
- Apple 2.4A
- Qualcomm Quick Charge 2.0/3.0 (Class B)
- Samsung Adaptive Fast Charging
- HUAWEI FCP
- HUAWEI SCP
USB-C2ポートはUSB BC DCPとApple 2.4Aのみに対応し、USB PDには対応しません。
USB-AポートはUSB BC DCPとApple 2.4Aに対応します。
その他、気づいたことなど
複数ポート同時使用時にいずれかのポートで挿抜が発生すると全ポートがリセットされる
出力を複数ポートでシェアしているタイプのUSB PD ACアダプターはどれか1つのポートで挿抜が発生すると全ポートでリセットされる (給電が一瞬途切れる) ものが多いですが、CIO LilNob CIO-G65W2C1Aもリセットが発生します。
USB-C1がPPSで21Vを出力できない
USB-C2ポートまたはUSB-Aポートを同時に使用している状態のUSB-C1ポートはPDO 7で3.3V〜21Vを通知しますが、実際には20Vまでしか出力できません。 (この手のACアダプターはだいたい21Vを出力できない)
5Aケーブルを使うとNintendo SwitchのTVモードが動作しない
5Aケーブルを使用するとNintendo SwitchのTVモードが動作しません。これはCIO LilNob CIO-G65W2C1AとNintendo Switch、両方の仕様が原因です。
CIO LilNob CIO-G65W2C1AとE-Markedケーブルを組み合わせて使用した場合、
- まず上限3AのSource_Capabilitiesメッセージが送られる
- ケーブルが5A対応か確認する
- 5Aだった場合、上限5AでSource_Capabilitiesメッセージを再送信する
という動作が発生します。このようにUSB PDの出力を2回通知する挙動のことを巷ではSplit PDOと呼んだりします。
割と最近のデバイスであればSplit PDOなACアダプターでも上手く処理してくれることが多いですが、Nintendo SwitchはSplit PDOなACアダプターだとTVモードが正常に動作しません。
eMarker非搭載のケーブルを使用した場合はSplit PDOな挙動が発生しない (Source_Capabilitiesメッセージが1度しか送信されない) ため、問題なくTVモードが動作します。
複数ポート使用時のUSB-C1ポートで一部のノートPCが充電できない
CIO LilNob CIO-G65W2C1AのUSB-C1ポートは他のポートと同時使用していても45Wを出力できるのでノートPCの充電に使おうという人もいるかと思いますが、注意したほうが良いです。
詳しくはこの記事にまとめましたが、複数ポート使用時のUSB-C1ポート (最大45W状態のUSB-C1ポート) では一部のノートPCが正常に充電できません。これはノートPC側のTexas InstrumentsのUSB PDコントローラーが原因っぽいのでCIO LilNob CIO-G65W2C1Aが悪いわけではありませんが、何にせよ充電できないものはできないので注意が必要です。
所感
オススメはしないです。
まず第一に、値段が割高です。この記事を書いている2021年5月時点では定価5,478円、15% OFFクーポンを適用して4,675円という値付けがされてますが、よくある中華65W 2C1AであるCIO-G65W2C1Aにこの値段分の価値は見出せません。私の感覚では、この手のACアダプターは出しても3,500円程度という相場感です。
2つ目の理由は、一部のノートPCを充電できないという点です。これはCIO-G65W2C1Aが原因ではなくノートPC側のTIのコントローラーが原因っぽいので、これをオススメしない理由とするのは “とばっちり” ですが、とはいえTIのコントローラーは様々なメーカーが採用しているため、不特定多数のノートPCで充電を行えない可能性があります。そういった一部の組み合わせで充電できないことが分かっているACアダプターを、どんなデバイスを使っている人が読みに来るか分からないブログという媒体でオススメするのは無理なのでオススメしません。
最終的にはその人の判断なので買いたければ買えばいいと思いますが、個人的には「これに5000円出すんだったらBaseusの65W 2C1Aで良くない?」という感想です。