Google Pixel 4aを購入したのでレビューします。
※ 今回私が購入したのはGoogleストアで販売されているSIMロックフリー版ですが、SoftBank版もSIMロックの有無以外は同スペックのはずなので、書いてある内容は基本的にSoftBank版にも共通するはずです。
スペック
機種名 (型番) | Pixel 4a (G025M) |
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ディスプレイ | 5.81 inch 2340 x 1080 px (19.5:9) 有機EL 60Hz |
端末サイズ | 144 x 69.4 x 8.2 mm |
重量 | 143 g |
SoC | Snapdragon 730G |
RAM | 6 GB (LPDDR4X) |
ストレージ | 128 GB (UFS 2.1) |
microSD | 非対応 |
前面カメラ | 画素数: 8 MP 1画素あたりのセンサーサイズ: 1.12 μm F値: 2.0 |
背面カメラ | 画素数: 12.2 MP 1画素あたりのセンサーサイズ: 1.4 μm F値: 1.7 手ブレ補正: 光学 + 電子 |
バッテリー | 3140 mAh |
急速充電 | USB PD 18W |
W-CDMA (3G) | 1/2/4/5/6/8/9/19 |
LTE (4G) | 1/2/3/4/5/7/8/ 12/13/17/18/19/20/25/26/28/ 38/39/40/41/42/66 |
NR (5G) | 非対応 |
Wi-Fi | 802.11 a/b/g/n/ac 2×2 MIMO |
Bluetooth | Bluetooth 5.0 (AptX, AptX HD, LDAC, AAC) |
イヤホンジャック | あり |
NFC | あり (おサイフケータイ対応) |
防水・防塵 | 非対応 |
ワイヤレス充電 (Qi) | 非対応 |
Snapdragon 730G、6GB LPDDR4、128GB UFS 2.1ストレージ、3140 mAhバッテリーということで、スペック的には税込4万円台前半の機種としては概ね標準的か、若干ハイスペックなものとなっています。
歴代PixelスマートフォンのRAMやストレージがケチくさい傾向だったことを考えると、Pixel 4aのRAM・ストレージ構成はPixelにしては豪勢と言えるでしょう。ストレージの種類もeMMCではなく速度の速いUFS 2.1ですし、2年後~3年後もそれなりに快適な動作が期待できます。
開封・同梱物
Pixel 4aが届いて真っ先にびっくりしたのが包装です。シュリンク包装や封印シールなどが一切なく、箱が自由に開けられる状態でした。4万円の品物の包装がこれというのは抜き取り防止の観点からもうちょっとどうにかした方が良いと思います。
気を取り直して開封するとPixel 4aが出てきます。今度は裸のPixel 4aが出てきてビビりましたが、背面側に初期保護フィルムがないだけで、ディスプレイ側はさすがに保護フィルムが貼られていました。
箱に入っていたものは以下の通りです。
- Pixel 4a本体
- ドキュメント類
- SIMトレー取り出し用ピン
- USB 2.0 Type-C to Type-C ケーブル (1m)
- USB 3.1 Gen 1 Standard-A レセプタクル to Type-C プラグ 変換アダプター
- ACアダプター (USB PD 18W対応)
USB PD 18Wの充電器が付属しているのはGoodですね。2年後、3年後にスマートフォンを買い替えても充電器とケーブルは引き続き活用できるでしょう。
ハードウェア
Pixel 4aのバックパネルはポリカーボネート製となっており、正直高級感はありません。全体的にオモチャっぽいです。 (使ったことがある人にしか分からない例えをすると、Nexus 5Xっぽい)
しかしただ安っぽいだけでメリットが無いのかというと、そんなことはありません。Pixel 4aは実測145gという重量を実現しており、200gを超えるものも珍しくない現在のスマートフォン市場ではかなり軽量な部類となっています。また、ポリカーボネートはガラスのように割れることがないため、落としても壊れにくいとメリットもあります。
確かにポリカーボネートは金属やガラスと比べるとチープな質感になってしまいます。しかし、大半の人がスマートフォンにケースを付けることを考えると、質感がチープであることはあまりデメリットにはならず、むしろ軽さや耐久性といったメリットのほうが上回る場合が多いのではないでしょうか。
Xperia CompactシリーズやiPhone SE (2020) にはさすがに劣るものの、本体サイズも比較的小型 (16:9換算で5.0インチ相当) に収まっており、片手でもそれなりに操作しやすいです。
Pixel 4aは高級感こそないものの、軽くて扱いやすいハードウェアに仕上がっています。 (イヤホンジャックもあるし)
ソフトウェア
Pixel 4aはGoogleのスマートフォンなだけあって、クリーンなAndroid OSが搭載されています。要らないアプリがてんこ盛りとかそういったことはありませんし、UIも標準的で扱いやすいです。今までAndroidスマートフォンを使っていた人であれば特に違和感なく使えるソフトウェアだと思います。
機能的にはPixel独自のものがいくつかあり、周りで流れてる音楽を教えてくれる「この曲なに?」や、知らない番号から電話が掛かってきた時に電話アプリが「迷惑電話の可能性があります」みたいなことを教えてくれる機能が便利でした。
また、Pixel 4aで見逃せないのがアップデートの頻度とその期間の長さです。Pixel 4aは他のPixelシリーズと同じく、最低3年間のメジャーアップデートおよび毎月のセキュリティアップデートが謳われています。いわゆる「格安スマホ」と呼ばれるような5万円以下のSIMロックフリースマートフォンではセキュリティアップデートの頻度がまばらだったり、メジャーアップデートが遅いというような話を聞いたりしますが、Pixel 4aであればそのような心配とは無縁です。「予算はあまりないんだけどちゃんとアップデートされるスマホがいい」という人にはPixel 4aを強くオススメします。
唯一「Pixel 4aに機種変更した人が戸惑いそうだなー」と思ったのがジェスチャー操作です。iOSの後追いでAndroidも9.0 Pieからジェスチャー操作が導入されましたが、Pixel 4aは初期状態でジェスチャー操作が設定されています。ジェスチャー操作と従来の3ボタン操作、どちらでも好きな方を使えばいいと思いますが、もしジェスチャー操作から3ボタン操作に戻したい場合は「設定アプリ → システム → ジェスチャー」から3ボタン操作に設定することができます。
カメラ
Pixel 4aのカメラは今となっては珍しい、シングル構成のカメラとなっています。望遠も超広角もマクロもありません。メインカメラ1つのみです。
しかし、そのメインカメラで撮れる写真はなかなかに優秀です。解像感・ダイナミックレンジ・色味、どれをとってもこの価格帯のスマートフォンとしては優秀です。Galaxyや中国メーカーほどSNS映えを意識した画作りではないため、過剰に誇張されているようなこともなく、スマートフォンのカメラとしてはオーソドックスでキレイな写真が撮影できます。
4万円ぐらいの機種だと暗い場面に弱いものも少なくありませんが、Pixel 4aは暗所での撮影にも強いです。「夜景モード」をオンにして撮影すると、かなり暗い状況でも結構鮮明な写真を撮影することができます。
※ ちなみにシャッター音・スクショ音はSIMカード未装着でも消せません。 (日本モデルだけ強制的に鳴るようにされている)
パフォーマンス
Pixel 4aのスペックはSnapdragon 730G、6GB LPDDR4 RAM、128GB UFS 2.1ストレージとなっており、2020年の4万円台の機種としては可もなく不可もないスペックとなっています。
実際に使ってみた感想としては、至って快適です。Snapdragon 855+を搭載しているOnePlus 7Tと比べると若干のスクロールの引っかかりは感じたものの、横に並べて使ったりでもしない限りは気づかないレベルでした。普通に使っている分には十分なパフォーマンスです。
グラフィックのパフォーマンスもなかなかで、デレステ3Dリッチ60fpsのMVをフレーム落ちすることなく再生できました。さすがに15人ライブや特殊エフェクトが掛かるようなMVはフレーム落ちしましたが、軽量〜中級のゲームであれば問題なくプレイできると思います。
ベンチマーク
電池持ち・充電
Pixelに限らず、Nexusの時代からGoogleが関与しているスマートフォンは電池持ちが悪い傾向にありましたが、意外なことにPixel 4aの電池持ちはかなりマトモです。
私の使い方では1回の充電あたりの画面点灯時間 (Screen On Time) は約6.5時間で、これは他のスマートフォンと比べても遜色ないものです。このサイズのスマートフォンとしてはバッテリー持ちの良い部類に入ると思います。
「どれだけ使っても安心!」とまでは言いませんが、普通に使っている分にはモバイルバッテリー不要の電池持ちだと思います。今のところ、1日持たずにバッテリーが無くなったということは1度もありません。
Pixel 4aにはUSB PD 18W対応のACアダプターが付属しているため、追加出費なしで急速充電が可能です。
供給される電力は最大でも15W程度であったため、出力の大きいACアダプターに替えても充電時間は短くなりません。付属のACアダプターで最速です。
充電時間 | 0 min | 10 min | 20 min | 30 min | 40 min | 50 min | 60 min | 70 min | 80 min | 90 min |
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バッテリー残量 | 1 % | 17 % | 35 % | 53 % | 67 % | 78 % | 86 % | 93 % | 97 % | 100 % |
ディスプレイ
Pixel 4aを使って1番驚いたのはバッテリー持ちですが、2番目に驚いたのはディスプレイです。
何に驚いたかと言うと、その画質と明るさです。一般的に、スマートフォンのディスプレイは実物よりもパンチの効いた (誇張された) 表示となるようにチューニングされていますが、PixelスマートフォンはiPhoneなどと同じく「正確な表示をする」という方向でチューニング・キャリブレーションされています。私はiPhoneやiPadのような画質が好みであるため、Pixel 4aの表示画質も好ましく感じました。 (設定から「ディスプレイ → カラー → ナチュラル」に変更するとWebで最もよく使われるsRGBに準拠した表示となります)
また、最大輝度がかなり明るく、8月下旬〜9月上旬の日差しの下でもハッキリと表示内容を視認できました。私が今まで使った有機ELのスマートフォンのなかで最も屋外でも見やすかったです。
解像度はFHD+、リフレッシュレートは60Hzということでスペック的にはパッとしませんが、「表示する」という基本性能に関しては4万円のスマートフォンの割にかなり上等という印象を受けました。
指紋認証・顔認証
Pixel 4aは背面に指紋認証用の指紋センサーが配置されています。顔認証には非対応です。
指紋センサーの位置 (背面・ホームボタン・側面) は人によって好みが分かれるところですが、指紋認証の速度や精度は非常に良好です。最近はディスプレイに指紋センサーを埋め込む「ディスプレイ指紋認証」の機種も増えていますが、Pixel 4aの指紋認証のほうが精度も速度も段違いに良いです。
防水防塵には非対応
ハイエンドモデルだったPixel 3やPixel 4はIP68の防水・防塵に対応していましたが、Pixel 4aは防水・防塵に非対応となっています。
SIMカードトレーにゴムパッキンが装着されていたので一応は防水・防塵も考慮している?っぽいですが、公式に防水・防塵とは謳われていないので水で濡らしたりはしない方が良いでしょう。
Pixelシリーズの伝統は健在
Pixelシリーズというとカメラやソフトウェアにフォーカスが当たる場合が多いですが、他にもいくつか「伝統」があり、それらはPixel 4aでも健在です。
電源ボタン
Pixelシリーズは電源ボタンが本体カラーとは別の色にカラーリングされていますが、Pixel 4aは薄いグリーンが配色されています。
ボタンの押し心地もしっかりとしたクリック感があり、下手なハイエンド機種よりも押し心地が良いです。
触覚フィードバック
Pixelシリーズはバイブレーションにこだわっており、触覚フィードバック (Haptic Feedback) がかなりリアルですが、そのバイブレーションはPixel 4aにも受け継がれています。4万円の機種とは思えないバイブレーションのキレ (?) です。
ステレオスピーカー
Pixel 2以降のPixelスマートフォンはすべてスピーカーがステレオ仕様になっており、Pixel 4aのスピーカーもイヤーピースと本体底面のスピーカーを使ったステレオ構成となっています。
肝心の音質は「モノラルよりはマシだね」という程度です。2つのスピーカーの音量差が大きく (底面側の音量が大きい) 、音そのものも迫力に欠けるため、全体としてそこまで良いものではありません。
しかし、この価格帯ではモノラルスピーカーの機種が多いため、同程度の価格帯で比べると相対的にスピーカーの音質は良いと思います。
まとめ
Pixel 4aはスペックシートだけで判断するとパッとしない機種です。Snapdragon 800番台が搭載されているわけでもなく、カメラは1個しかなく、バッテリーは3140mAhしかありません。
しかし実際に使ってみると、使いやすく弱点の少ない機種であることが分かります。ゲームもそれなりにできるレベルのパフォーマンス、1つのみだが画質の優れたカメラ、3年間の毎月のセキュリティアップデート、屋外でも明るく見やすいディスプレイ、1日使えるバッテリー持ち、SIMロックフリーでは対応している機種の少ないおサイフケータイ、追加出費なしで急速充電できる充実の付属品……等々、ユーザーが求める基本的なポイントをしっかりと抑えています。
Pixel 4aは目新しさやガジェット的なおもしろさはありませんが、ベーシックで使いやすい、バランスの良いスマートフォンに仕上がっています。誰が使っても使いやすく、個人的には非常にオススメです。