Galaxy S9 (SCV38) を購入したので、USB Type-Cポートの仕様を調べてみました。
※ Galaxy S9 SCV38 SM-G960J (Android 9 / PPR1.180610.011.SCV38KDU1BSE5)
Quick Charge


Galaxy S9をQuick Charge 3.0に対応しているUSB Standard-A ACアダプターで充電したところ、約9V/1.1Aが供給されていました。
電圧が、段階的に上がるのではなく5Vから9Vへと一気に昇圧していたため、QC 3.0ではなくQC 2.0対応と思われます。
USB Type-C Current
PCのUSB 3.1 Gen 1 Standard-Aポートへ接続


56kΩ抵抗が使用されているA to Cケーブルを使って、PCのUSB 3.1 Gen 1 Standard-Aポートに接続したところ、USB 2.0ケーブルでは約5V/0.5Aが、USB 3.1 Gen 1ケーブルを使った場合では約5V/0.9Aが供給されていました。
Google ADP-23AW


USB Type-C Current 3Aに対応しているGoogle ADP-23AWでGalaxy S9を充電したところ、約5V/2.2Aが供給されていました。
USB Type-C Currentまとめ
Galaxy S9は、CCの電圧やUSBの仕様 (2.0 or 3.1) によって引く電流値をUSBの仕様通りにコントロールするように設計されており、Default USB PowerでUSB 2.0の場合は最大5V/0.5Aを、Default USB PowerでUSB 3.1の場合は最大5V/0.9Aを、USB Type-C Current 3Aに対応している場合は最大5V/3Aを消費します。
USB PD (Sink)
Sink_Capabilities
Galaxy S9のSink_CapabilitiesメッセージのPDOは「5V 3A (Fixed)」「9V 2A (Fixed)」「5〜9V 2A (Variable)」でした。
Anker A2015113


USB PD 60Wに対応しているAnker A2015113でGalaxy S9を充電したところ、5V/3Aでネゴシエーションが行われ、約5V/2.1Aが供給されていました。 (上の画像では約2.6Aとなっていますが、基本的には約2.1Aが流れていました)
USB PDハブ経由で接続


USB PDハブ (Xiaomi ZJQ01TM) 経由でAnker A2015113を使ってGalaxy S9を充電したところ、まず最初に5V/2Aで、その次に9V/2.45Aでネゴシエーションが行われ、最終的には約9V/1.1Aが供給されていました。
USB PD充電 その他
複数のUSB PD ACアダプターでGalaxy S9を充電した結果が以下のサイトに載っています。

ほとんどのACアダプターで、9Vではなく5Vでの充電となっています。
USB PD (Source)
Source_Capabilities
Galaxy S9が送信するSource_Capabilitiesメッセージを確認したところ、PDOは「5V 0.5A (Fixed)」でした。
出力を確認
Galaxy S9はUSB 3.1 Gen 1対応であるため、例えばUSB 3.1 Micro-BなポータブルHDDのようなUSB PDに対応していない機器を接続した場合、最大で5V/0.9Aの出力が要求されます。しかしながらSource_CapabilitiesメッセージのPDOは5V/0.5Aであり、5V/0.9Aには不足しています。
そこで、Galaxy S9のUSB Type-Cポートに負荷を掛けてみました。
結果としては、約5W (5V/1A) まで出力することができ、それより高い負荷が掛けると出力がシャットダウンされました。
また、実際にポータブルHDDを接続してみましたが、外部電源なしでも問題なく駆動・動作させることができました、
DisplayPort Alternate Mode (DeX)




Galaxy S9シリーズはAndroid 9へのアップデート後、DeX PadやDeX Stationなしでも Samsung DeX機能を利用できるようになりました (S8シリーズ・Note8シリーズも同様) 。Galaxy S9本体をトラックパッドとして使用できるようになっているなど、DeXそのものの完成度はなかなかに高いです。「PCの代替になる」とまでは言いませんが、簡単なプレゼンぐらいなら普通にこなせそうです。
言うまでもありませんが、DeXはDisplayPort Alt Mode (DisplayPort over USB-C) を利用して実現されている機能です。
Android 8.0の時の「画面共有」では、Galaxy S9のアスペクト比と外部ディスプレイのアスペクト比が一致しないために必ず黒帯が発生していましたが、DeXではアプリを全画面表示にすると外部ディスプレイのアスペクト比に合わせてちゃんと全画面で表示してくれます。上の写真ではYouTubeを使用しましたが、ゲームなども全画面表示が可能です。 (デレステで確認)
なお、アプリの全画面表示はあらかじめ「DeXラボ」で「アプリのサイズを強制変更」をオンにする必要があります。
イヤホンジャック変換アダプター


Galaxy S9はアナログ型 (AAAM) の変換アダプターに対応しておらず、接続しても本体スピーカーから音楽が流れました。
DAC内蔵型の変換アダプターを接続した場合では、イヤホンから音楽が流れました。

気になった点
※Sink/UFP側がGalaxy S9です。
Galaxy S9は、Vendor_DefinedメッセージのDicover IdentifyコマンドレスポンスでModal Operation Supported=0を返し、また、Discover SVIDsコマンドレスポンスでNAKを返します。
Galaxy S9はDisplayPort Alternate Modeをサポートしているため、本来であればModal Operation Supported=1と返答し、また、Discover SVIDsコマンドレスポンスではACKを返答し、SVID 65281をサポートしていることをInitiatorへと伝えなければならないと思われます。ただ、DP Alt Modeは普通に機能しているので、実使用で特に問題になることはないでしょう。
所感
この記事に載せた分以外にも色々試してみましたが、まぁ良くできています。Galaxy S9は安く見積もっても定価7〜8万円はするプレミアムモデルなわけですが、やはり高いものには高いなりの理由がありますね。
スマートフォンはどうしてもパフォーマンスやらカメラといった目立つ部分に目が行きがちですが、こういった細かい部分にこそ端末としての完成度が現れることを改めて実感しました。
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