一部のQuick Charge 3.0対応USB Type-C ACアダプタがケーブルを破壊する話 その2

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以前記事にした、一部の粗悪なQuick Charge 3.0対応USB Type-C ACアダプタがケーブルを破壊する話の続きです。

前回の話

  • 一部の粗悪なQuick Charge 3.0対応USB Type-C ACアダプタによってケーブルが破壊される可能性が報告されている
  • 破壊されるのはICチップ(eMarker)を搭載しているE-Markedケーブル
  • ICチップが搭載されているのは、全てのUSB 3.1 C to Cケーブルと一部のUSB 2.0 C to Cケーブル

実際に試してみた

使用したのはAUKEYのQuick Charge 3.0対応USB Type-C ACアダプタ PA-Y2です。

Quick Chargeを発動させることができる特殊な基板を使用してQCを有効化し、その状態の時のACアダプタのCC1・CC2の電圧を測定してみたところ、以下のような状態でした。

テスターに表示されているのがCC1・CC2の電圧です。

ACアダプタのCC1・CC2はケーブルのVconn(eMarkerに電力を供給するピン)と接続するため、理論的にはケーブルのVconnにも最大12Vが掛かる恐れがあるということになります。(実際にはケーブルのRaを経てGNDに接続するので、12Vがそのまま掛かる可能性は低い)

Vconnの電圧はUSB Type-Cの規格で以下のように定められています。

USB Type-C Specs Rev 1.2, Sec 4.4.3

最大5.5Vと規定されているところに約12Vの電圧が掛かるのですから、当然搭載されているICチップは破壊されてしまいます。

これが、一部の粗悪なQuick Charge 3.0対応USB Type-C ACアダプタがケーブルを破壊する原因です。

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Quick Charge 3.0対応でも破壊しないACアダプタもある

Quick Charge 3.0対応USB Type-C ACアダプタのすべてがE-Markedケーブルを破壊するのかというと、そうではありません。

例えばAnkerのQuick Charge 3.0対応USB Type-C ACアダプタ A2012111ですが、このACアダプタではQuick Chargeが有効になってもE-Markedケーブルを破壊する可能性は低いです。

AUKEY PA-Y2と同様に、Quick Charge有効時のCC1・CC2の電圧を測定してみました。

テスターに表示されているのがCC1・CC2の電圧です。

上記の画像の通り、CC1・CC2の電圧はUSB Type-Cの規格で定められている範囲内である約5Vでした。

そのため、Vconnに掛かる電圧も約5Vとなるため、Quick Chargeを利用した場合でもeMarkerが破壊される可能性は低いと考えられます。

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A to Cケーブルは?

E-MarkedなC to Cケーブルが破壊される可能性があることが分かったところで、次はA to Cケーブルに移ります。

ケーブルに搭載されているeMarkerに規定以上の電圧が掛かって焼き切れることがこの問題の本質なわけですが、そもそもA to CケーブルにeMarkerは搭載されているのでしょうか。USB Type-Cの仕様書には以下のようなワイヤリングの概要が記載されています。

USB Type-C Specs Rev1.2 Section 3.5.1

この表を見てみると、Vconnの欄は空白となっています。つまり、A to CケーブルにおいてVconnは開放であるということになります。

このことが何を意味しているかというと、全てのA to CケーブルにはeMarkerが搭載されていないことを表しています。(上記の表はUSB 2.0のものですが、3.1のものも同様に開放となっています)

当然、eMarkerが搭載されていなければそもそも焼き切れるという問題が発生しないので、A to Cケーブルに関してはケーブルが破損する可能性を心配しなくても良いということになります。(Quick Charge 3.0自体はUSB Type-Cの規格に沿っていませんが)

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所感

AUKEY PA-Y2のような例は論外ですが、ケーブルを破壊しない形で実装できるのであればUSB Type-C ACアダプタにQC 3.0などを実装するのはギリギリ許せると思っています。

他社製品との差別化や付加価値的な面では仕方ないのかなー、といった感じです。まぁ、そもそもUSB Type-CのスマホにQC 3.0を対応させるなという話ですが……