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Quick Chargeは一部のUSB Type-Cケーブルを破壊するので注意

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Quick ChargeにUSB 3.1対応のUSB Type-Cケーブルを使うとケーブルが破壊されるので注意しましょう。

USB Type-Cとは

2014年に策定された、新しいUSBの形状です。

リバーシブルな形状であることや、今までのUSB端子よりも大きな電気を扱える(≒充電が早くなる)といったメリットがあるため、2016年に入ってから急速にAndroidスマートフォンでの採用例が増えています

USB Type-Cを採用している機種としてはXperia XZやXperia X Compact、ZenFone 3などが挙げられます。

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Xperia X Compact

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ZenFone 3

Quick Chargeとは

Quick Chargeとは、アメリカのQualcommという会社が策定した急速充電の規格です。

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QualcommのチップはAndroidスマートフォンで圧倒的なシェアを誇っており、日本でも大多数のAndroidスマートフォンがQualcommのチップを採用しています

Qualcommのチップを採用するメリットは色々あるのですが、その中の1つに“Qualcommのチップを採用するとQuick Chargeに対応させることができる”という点が挙げられます。バッテリーの大容量化に伴って充電時間も長くなっていますので、何かしらの急速充電規格へ対応することがほぼ必須となっているわけですね。

先ほど挙げたXperia XZやXperia X Compact、ZenFone 3もQualcommのチップを採用しており、Quick Chargeにも対応しています

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ケーブルが破壊される場合がある

機械工学を専門とするNathan.K氏がYouTubeに以下のような動画を投稿しています。

動画の要点をまとめると、「ICチップを積んだUSB Type-CケーブルをQuick Chargeに使うと、そのICチップが焼き切れる」とのことです。

ICチップを積んだUSB Type-Cケーブル

ICチップを積んだUSB Type-Cケーブルとは、簡潔に言うのであれば“USB 3.1に対応した、両端がType-CであるC to Cケーブル”です。

USBの仕様でUSB 3.1対応のC to CケーブルにはICチップを搭載することが定められているため、それらのケーブルには必ずICチップが搭載されています。

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まとめ

・Quick Chargeに対応したUSB Type-Cのスマートフォン
・Quick Chargeに対応したUSB Type-CのACアダプタ
・USB 3.1に対応したC to Cケーブル

という条件が揃った場合にケーブルが破壊されます。

ややこしいのが面倒であれば、Quick Charge対応ではないACアダプタを使ってスマートフォンを充電しましょう。Quick Chargeさえ使わなければケーブルが破壊されることはありません

例えば以下のような製品であれば、USB Type-Cの規格で定められている5V/3A給電で充電速度を確保しつつ、Quick Charge非対応なのでケーブルを破壊せずに充電することが出来ます。

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悪いのはQuick Charge

USB Type-Cの仕様書であるUSB Type-C Specification Rev 1.2には、以下のような記載があります。

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この内容を要約すると「独自の充電規格を実装するなら電圧は5V以外に変えるなよ」となります。

しかしながらQuick Chargeはどうでしょう。9Vや12Vに電圧を上げて充電していますね。つまり、USB Type-Cの規格に沿っていません。

以上のことから、この件で悪いのはUSB Type-Cの規格やケーブルメーカーではなく、規格に反しているQuick Chargeということになります。

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より詳しい解説

深く理解したい人向けにキチンとした解説を残しておきます。

充電方式

まずケーブルを破壊する恐れがある充電方式についてですが、Quick Charge以外の“電圧を5V以上に昇圧するタイプの充電方式”は恐らくすべての充電方式でケーブルが破壊されると思われます。(USB PDは除く)

上記の動画ではSamsungのAdaptive Fast Chargingも指摘されていたので、MediatekのPump ExpressやHuawei P9などに搭載されているHuaweiの急速充電でもケーブルが破壊されるものと考えられます。(Mate 9の5Vより降圧する方式はどうなるか不明)

E-Markedケーブル

破壊されるケーブルですが、上記ではわかりやすくするために”ICチップを搭載したケーブル”と表現しましたが、正確には”Electronically Marked Cables”と呼ばれるケーブルです。

E-MarkedケーブルにはeMarkerと呼ばれる”自分の電気特性(USB PD対応など)をデバイスに伝達するためのICチップ”が搭載されており、そのICチップがQuick Chargeなどの高電圧で焼き切れるとのことです。

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USB Type-C Specs Rev1.2 Section 1.5

そしてそのE-Markedケーブルですが、USB 3.1なC to Cケーブル以外にも存在しています。そもそもUSB Type-Cの仕様書はケーブルの種類に関わらずeMarkerを搭載することを推奨していますので、USB 2.0なC to CケーブルやC to Legacyケーブルでも搭載している製品が存在します。

Full-Featuredケーブル

そんなE-Markedケーブルですが、C to CケーブルではFull-Featuredケーブル全てと、一部のUSB2.0ケーブルがE-Markedであると記載されています。

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USB Type-C Specs Rev1.2 Section 2.2

「Full-Featuredケーブルって何だよ」という話ですが、要はUSB 3.1なケーブルです。(SBUはAlt Modeなどに使われるピン)

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USB Type-C Specs Rev1.2 Section 1.5

C to CケーブルはFull-FeaturedとUSB 2.0のものしか定義されていませんので、マトモなメーカーが製造したUSB 3.1なC to Cケーブルは全てFull-FeaturedなE-Markedケーブルであるということになります。

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USB PD(5A)対応ケーブル

Full-Featuredなケーブルがどんなものかわかったところで、次はUSB 2.0なC to Cケーブルに移ります。

USB 2.0なC to Cケーブルでは、5AのUSB PDに対応(=60W以上のUSB PDに対応)したものがeMarker必須であると定義されています。

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60W以上のUSB PDに対応したUSB 2.0なC to Cケーブルの例としては、MacBookシリーズに付属しているケーブルや、ELECOMのケーブルなどが挙げられます。

C to Legacyケーブル

先ほども言ったようにC to LegacyケーブルにeMarkerを搭載する”義務”はありませんが、”推奨”はされているので、真面目なメーカーの製品にはeMakerが搭載されています。

例えばBelkinのUSB 3.1なA to CケーブルはeMarkerを積んでるっぽいですし、ELECOMのUSB 2.0なA to CケーブルもUSB IFの認証を通過してるようなので恐らく積んでると思います。

ICチップをType-Cのプラグに内蔵する以上、どうしても搭載していないケーブルと比べてモールドされてる部分が長くなりがちなので、その部分でなんとなくアタリをつけることは可能です。

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詳しい解説のまとめ

今までの長々とした説明をまとめると以下の通りとなります。

ケーブル USB USB PD eMarker
C to C 2.0 非対応 必須ではない
対応 (3A) 必須ではない
対応 (5A) 必須
3.1 非対応 必須
対応 (3A) 必須
対応 (5A) 必須
C to Legacy ALL N/A 必須ではない

“必須ではない”というだけで”積んでいない”ということではないので、どんなタイプのケーブルであっても製品によっては破壊される可能性があることに注意しましょう。

USB PDは?

Quick Chargeと同じく”電圧を5Vより高くする充電方法”としてUSB PDが存在しています。

そもそも、なぜQuick ChargeでE-Markedケーブルが壊れるかというとeMarkerに5V以上の電圧が掛かるからな訳ですが、どういう仕組みかUSB PDではeMarkerに5V以上は掛からないようになっているようです。(そうじゃないとUSB PDでもケーブルが破壊されることになる)

Quick ChargeではD+/D-でネゴシエーションしているのに対してUSB PDはCCラインでネゴシエーションしているという違いがあるのでその辺でうまいことやっているものと思われますが、この記事を書いた私自身イマイチよくわかっていません。

誰か知ってる人がいたらコッソリ教えてください(オイ

所感

USB Type-Cの普及に水を差してくれたなーという印象です。

Quick Charge 4は”USB Type-C and USB Power Delivery (USB PD) compliant“とのことですが、果たしてどうなることやらという感じです。