スマートフォンは色々なメーカーからリリースされていますが、iPhoneもAndroidも年々バッテリーが巨大化しています。
バッテリーが巨大化することによって起きる問題が「充電時間の長さ」です。当然、バッテリーの容量が大きくなれば100%までの充電時間も長くなるため、今までと同じ充電時間に収めるには「急速充電」が必要となります。
しかしながらスマートフォンの急速充電はメーカーごとに独自の充電規格が乱立しており、訳の分からない状況となっています。
この記事ではそんなスマホの急速充電について、それぞれの規格の概要と、利用するのに必要なもの (ACアダプター・ケーブルなど) を解説します。
メーカーごとにいくつも規格が存在しているスマホの急速充電
世の中には一体いくつスマホ向け急速充電規格が存在しているかご存じでしょうか。
10個? 20個? 残念ながら、その程度では済みません。
私もすべてを把握しているわけではありませんが、とりあえず思いつくだけでも以下のような充電規格が存在しています。
- USB
- USB Battery Charging
- USB Type-C Current
- USB Power Delivery
- Apple
- Apple 1.0A
- Apple 2.1A
- Apple 2.4A
- Qualcomm
- Quick Charge 1.0
- Quick Charge 2.0
- Quick Charge 3.0
- Quick Charge 3.0+
- Quick Charge 4
- Quick Charge 4+
- Quick Charge 5
- Samsung
- Adaptive Fast Charging
- Super Fast Charging
- Super Fast Charging 2.0
- HUAWEI
- HUAWEI QUICK CHARGE
- SuperCharge
- SuperCharge 40W
- OPPO
- VOOC
- VOOC 2.0
- VOOC 3.0
- VOOC 4.0
- SuperVOOC
- SuperVOOC 2.0
この他にもXiaomiのMi Turbo ChargeやMotorolaのTurboPower、ASUSのBoostMaster、MediaTekのPump Expressなどがありますが、全部挙げていたらキリがないのでこの辺にしておきます。
このようにスマホ向けの急速充電は非常に種類が多いわけですが、この記事では特に日本での普及率が高い
- USB
- Apple
- Qualcomm Quick Charge
の3つについて解説します。
充電の基本
スマートフォンの充電は、「USBコネクタ」や「USBケーブル」を使って行われます。 (iPhoneのLightningは厳密にはUSBではありませんが、USBの遠い親戚みたいなものなのでこの記事ではまとめてUSBとして取り扱います)
そしてそのUSBですが、そもそもは以下が供給できる最大の電力となります。
USB規格 | 供給できる電力 |
---|---|
USB 2.0 | 2.5W (5V/0.5A) |
USB 3.x | 4.5W (5V/0.9A) |
この2.5W・4.5Wが基本ですが、これではスマートフォンを充電するのに一晩中かかってしまうため、様々な充電用の規格が生まれました。
しかしながらそれぞれのメーカーが好き勝手に規格を作ったため、基本的に互換性のないメチャクチャな状況となっています。
互換性がないということは、専用の充電器が必要になるということを意味します。中には複数の急速充電規格に対応している充電器もあり、そういった充電器は様々なメーカーのスマートフォンを急速充電することができます。しかし、規格同士に互換性があるわけではないため、自分のスマートフォンの充電規格に対応している充電器でなければ急速充電を行うことはできません。
スマートフォンの急速充電は「どの充電器が対応しているのか」「急速充電に必要なもの」という部分が規格ごとに異なっていて分かりにくいため、そういった点についても一緒に解説します。
USBの充電規格
それでは規格の解説に入ります。まず最初は、1番基本となるUSBの充電規格です。
スマートフォンの充電規格には色々な種類があるものの、基本的にそれらの間に互換性はありません。なので、「iPhone用の充電規格でAndroidを急速充電する」といったことはできません。
一方でUSB系の充電規格だけは例外で、USB系だけはメーカーを問わず対応しているため、iPhone・Androidの両方で利用することができます。
USB系の充電規格は大きく分けて3種類あります。
- USB Battery Charging
- USB Type-C Current
- USB Power Delivery
USB Battery Charging
- 対応機種 : (ほぼ) 全てのスマートフォン
- ケーブル : データ通信できるものであれば何でもOK
- 充電器 : 7.5W (5V/1.5A) 以上出力できるものなら対応している (はず)
まず1つ目のUSB Battery Charging、略してUSB BCは、ありとあらゆるスマートフォンが対応している充電規格です。ケーブルの種類やコネクターの形状を問わないため、全てのスマートフォンで利用することができます。
「全てのスマートフォンが対応してるなら全部これで充電すればいいじゃん!」と思うかもしれませんが、USB BCの弱点は供給できる電力が小さいことです。USB BCは7.5Wしか供給できないため、その分、充電時間も長いです。 (だからこそメーカー独自の急速充電が乱立したとも言える)
USB BCを一言でまとめると、「ほぼ全てのスマートフォンが対応しているけど充電が遅い規格」となります。
USB Type-C Current
- 対応機種 : USB Type-Cなスマートフォンの一部
- ケーブル : C to Cケーブルなら何でもOK (変換アダプターはNG)
- 充電器 : USB Type-Cかつ7.5W (5V/1.5A) 以上出力できる充電器が対応している (はず)
USB Type-C Currentは、USB Type-Cで最大15Wを供給できる規格です。Nexus 6P/5Xなどが対応しています。
名前に「USB Type-C」と入っている通り、USB Type-Cでしか利用できない充電規格です。また、USB PDと異なり15Wまでしか供給できないため、USB PDほど利用する場面は多くありません。
USB Type-C Currentを一言でまとめると、「USB Type-C限定だけど15Wしか供給できない、USB PDのサブ・補助的な規格」となります。
USB Power Delivery
- 対応機種 : Galaxy S8以降のGalaxy、iPhone 8/X以降のiPhone、Pixel全モデル、Xperia XZ1以降のXperia など
- ケーブル : C to Cケーブルなら何でもOK (変換アダプターはNG)
- 充電器 : 「USB PD対応」と謳われているものが対応
USB PDは、最大240Wまで供給可能な充電の規格・仕様です。と言っても本当にスマートフォンに240Wを供給したら発熱など色々ヤバいので、現実的には18W程度、多くても25W程度となる場合がほとんどです。
USB PDは原則としてUSB Type-Cでしか利用できません。例外がiPhoneで、Lightningコネクターであるにも関わらずiPhone 8/X以降のiPhoneはUSB PDに対応しています。
スマートフォンだけでなくタブレットやノートPCでもUSB PDに対応した機種が普及してきており、USB PDを活用することによって1つの充電器でありとあらゆるデバイスを充電できる、というのがUSB PDのメリットです。
USB PDを一言でまとめると、「スマートフォンだけでなくタブレットやノートPCも充電できる、夢の充電規格」となります。
Appleの充電規格
続いて、Appleの充電規格です。Appleの充電規格は3種類あります。
- Apple 1.0A
- Apple 2.1A
- Apple 2.4A
この3つに加えてAppleが「高速充電」と呼んでいるものもありますが、それの中身はUSB PDなので、Apple独自のものは合計で3種類となります。
Apple 1.0A
- 対応機種 : 全てのiPhone
- ケーブル : データ通信ができるものであれば何でもOK
- 充電器 : 5W USB電源アダプタが対応
Apple 1.0Aは、誰もが見たことのあるiPhone付属の5W充電器が対応しています。最大で5W (5V/1A) しか供給できないため、当然充電スピードも非常に遅いです。
Apple 2.1A
- 対応機種 : iPhone 6以降のiPhone
- ケーブル : データ通信ができるものであれば何でもOK
- 充電器 : 10W USB電源アダプタが対応
Apple 2.1Aは、iPad Air 2/iPad mini 4以前のiPadに付属していた10W充電器が対応しています。このあと説明するApple 2.4Aよりは少し劣るものの、Apple 2.1Aでもそこそこの速度で充電できます。
Apple 2.4A
- 対応機種 : iPhone 7以降のiPhone
- ケーブル : データ通信ができるものであれば何でもOK
- 充電器 : 12W USB電源アダプタが対応
Apple 2.4Aは、iPadに付属していた12W充電器が対応しています。(iPad 8th gen以降はUSB-C電源アダプタが付属)
Apple 2.4AはUSB PDほどではないもののiPhoneをそれなりに高速に充電できるため、iPadをお持ちの人はiPad付属の充電器でiPhoneも充電してみることをオススメします。
高速充電 (USB PD)
- 対応機種 : iPhone 8/X以降のiPhone
- ケーブル : USB-C to Lightningケーブルのみ
- 充電器 : iPad、MacBookシリーズに付属しているUSB-C 電源アダプタが対応
最近のiPhoneは、Apple独自充電規格に加えて「高速充電」にも対応しています。
「高速充電」と聞くとAppleの独自規格のように思えますが、中身はUSB PDです。そのため、USB PDに対応した充電器であれば、Apple純正でなくとも高速充電を行うことができます。
USB PDでの充電は、iPhone 8/X以降が対応しています。
Quick Charge
最後はQuick Chargeです。
Quick Chargeは、スマートフォン用のチップ (SoC) を開発しているQualcommという企業の独自規格です。QualcommのSoCは様々なAndroidスマートフォンに採用されているため、色々なメーカーのAndroidスマホが対応しています。 (iPhoneはApple自社開発のSoCを採用しているのでQuick Chargeには対応していない)
Quick Chargeは細かく分けると
- Quick Charge 1.0
- Quick Charge 2.0
- Quick Charge 3.0
- Quick Charge 3.0+
- Quick Charge 4
- Quick Charge 4+
- Quick Charge 5
という種類があります。
全て解説したいところですが、この記事では国内でよく使われているQuick Charge 2.0、3.0、4、4+の4つに絞って解説します。
Quick Charge 2.0/3.0
- 対応機種 : Androidスマホの一部
- ケーブル : データ通信ができるものであれば何でもOK
- 充電器 : QC 2.0対応充電器、QC 3.0対応充電器、QC 4+対応充電器が対応
Quick Charge 2.0/3.0は似ているのでまとめて説明します。
Quick Charge 2.0/3.0は約18Wで充電できる規格で、2017年頃までは「Androidの急速充電と言えばQuick Charge」というぐらい普及していました。 (最近はUSB PDに置き換わってます)
まずQC 2.0が普及し、その後に性能改善・バージョンアップ版としてQC 3.0が登場しました。QC 3.0はQC 2.0と比較して38%効率が良くなっているとされています。また、QC 3.0は後方互換性があり、QC 3.0に対応しているスマートフォンや充電器はQC 2.0にも対応しています。
余談ですが、なぜかdocomoはQuick Charge 2.0/3.0のことをそれぞれ「急速充電2」「急速充電3」と呼んでいます。
Quick Charge 4/4+
- 対応機種 : ごく一部のAndroid
- ケーブル : C to Cケーブルなら何でもOK (変換アダプターではNG)
- 充電器 : 「QC 4/4+対応」が謳われているもの
Quick Charge 4/4+はQC 3.0の後継として策定された規格です。
QC 3.0は電圧の制御に独自の方式を採用していましたが、QC 4/4+は制御の方式としてUSB PDを採用しています。つまり、QC 4/4+はUSB PDと互換性があるということです。
「互換性がある」と聞くと「その辺のUSB PD対応充電器でもQC 4/4+を利用できる」という風に思うかもしれませんが、それは不可能です。QC 4/4+はUSB PDの「Programmable Power Supply (PPS) 」というオプションの仕様を利用しているため、ただのUSB PD対応充電器ではQC 4/4+は有効になりません。QC 4/4+で充電するためにはUSB PD PPSに対応している充電器を使う必要があります。
まとめ
この記事で解説した急速充電規格をまとめると、こんな感じです。
充電規格 | 対応機種 | 供給電力 | ケーブル |
---|---|---|---|
USB Battery Charging | 全てのiPhone・Android | 7.5W程度 | (データ通信を行えるものであれば) 何でも可 |
USB Type-C Current | 一部のiPhone・Android | 15W | USB Type-Cのみ |
USB Power Delivery | 一部のiPhone・Android | 18W程度 | USB Type-Cのみ |
Apple 1.0A | iPhoneのみ | 5W | (データ通信を行えるものであれば) 何でも可 |
Apple 2.1A | iPhoneのみ | 10W | (データ通信を行えるものであれば) 何でも可 |
Apple 2.4A | iPhoneのみ | 12W | (データ通信を行えるものであれば) 何でも可 |
Quick Charge 2.0/3.0 | 一部のAndroid | 18W程度 | (データ通信を行えるものであれば) 何でも可 |
Quick Charge 4/4+ | ごく一部のAndroid | 25W程度 | USB Type-Cのみ |
このように、スマートフォン用の充電規格は非常に種類が多いです。そして、スマートフォンに応じて適切な充電器を使わなければ急速充電を行うことはできません。
お使いのスマートフォンにもよるので一概に言えない面はありますが、2020年の今から充電器を買うのであれば、基本的にはUSB PD対応のものをオススメします。↓↓は私が実際に使っているもので、65W出力なのでスマートフォン用としてはちょっとオーバースペックではありますが、ノートPCやタブレットも充電できるのでオススメです。
充電は毎日する作業なので、1度投資するとその恩恵を毎日受けることができます。充電器に3000円ほど投資して、快適な充電ライフを送ってみてはいかがでしょうか。