Anker PowerPort III 65W Pod レビュー : USB PD充電器に迷ったらこれを買うべし (2020)

PowerIQ 3.0 (Gen2) を搭載しているAnkerのUSB PD 65W充電器「PowerPort III 65W Pod」を購入したのでレビューします。

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これは何?

USB充電器やケーブルなどを多数リリースしている周辺機器メーカー「Anker」が2020年7月に発売した、USB PD 65W対応のACアダプターです。

良くも悪くも最近流行りの窒化ガリウム (GaN) 素子を採用していないため、窒化ガリウム採用品と比べるとサイズは大きめです。その分、価格は抑えられており、2990円で販売されています。 (2020年8月12日時点)

スペック的な部分では、Programmable Power Supply、略してPPSに対応していることが特徴です。PPSに対応しているAnker製品は多分これが初めてですね。

日本だとPPSの採用例としては「Quick Charge 4 / Quick Charge 4+」や、Galaxy S20・Note10・Note20シリーズの急速充電「Super Fast Charging」が有名ですが、PPSに対応しているACアダプターは今まであまり選択肢がなかったため、それらの急速充電に対応しているスマートフォンのユーザーは要注目のACアダプターです。

開封・付属品

Anker製品を買ったことのある人なら見覚えのある、白を基調としたいつもの感じのパッケージです。

付属品は説明書だけで、ケーブルは付属しません。

本体の質感はツルツルテカテカした感じで、USB Type-Cポートがある面だけマットな質感となっています。

プラグは折りたたみ可能です。

PowerPort III 65W Pod
Model/品番: A2712
Input/入力: 100-240V~ 2A 50-60Hz
Output/出力: 5.0V x 3.0A = 15.0W, 9.0V x 3.0A = 27.0W, 15.0V x 3.0A = 45.0W, 20.0V x 3.25A = 65.0W, PPS 3.3V-21.0V x 3.09A = 64.89W Max
Anker Innovations Limited
Made in China
SN: AFYLCZ0A29171463
ひし形PSEマーク / アンカー・ジャパン株式会社 / TÜV SÜD PSB Pte Ltd

重量

重量は約120gでした。

大きさを比較

PowerPort III 65W Podは「Anker独自技術のMiniFuelを採用し、コンパクトデザインながら高い充電効率と放熱性を実現」とのことで、小ささが売りの1つとなっています。

まず比べるのは、同じAnkerの「PowerPort Speed PD 60」です。日本では2019年に発売されましたが、アメリカでは2016年に発売されており、実はちょっと古めのモデルです。

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今回レビューしているPowerPort III 65W Podの方が5Wだけ出力が大きいにも関わらず、サイズはかなり抑えられています。コンパクトサイズを売りにするだけのことはありますね。

PowerPort III 65W Pod45 x 30 x 68 mm (高さ x 横幅 x 奥行)
PowerPort Speed PD 6063 x 28 x 63 mm (高さ x 横幅 x 奥行)

次に比べるのは、窒化ガリウム (GaN) 素子を採用しているXiaomi AD65Gです。2020年に発売されたばかりの最新モデルで、PowerPort III 65W Podと同じ65W出力です。

Xiaomi窒化ガリウム65W充電器レビュー : 超小型でこの安さは魅力的だが……?
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やはりGaN採用なだけあって、Xiaomi AD65Gの方がさらにもう1段コンパクトですね。

Anker PowerPort III 65W Pod45 x 30 x 68 mm (高さ x 横幅 x 奥行)
Xiaomi AD65G31 x 31 x 72 mm (高さ x 横幅 x 奥行、コンセント含む)
 
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急速充電規格とPDOを確認

AVHzY CT-2 (Kotomi Premium) を使って、PowerPort III 65W Podが対応している急速充電規格とSource_CapabilitiesメッセージのPDOを確認します。

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まずは急速充電規格です。

PowerPort III 65W Podは「PowerIQ 3.0 (Gen2)」の搭載が謳われており、実際の急速充電規格としてはUSB PDの他に「USB BC DCP」「Apple 2.4A」「Quick Charge 2.0/3.0」に対応しています。

USB Type-Cは仕様でUSB以外の充電規格を実装することを禁止しているため、厳密にはUSB Type-Cの仕様に違反しているということになります。ただし、Quick Charge有効時もCCに印加される電圧はUSB Type-Cの仕様で定められている範囲内であったため、実用上で何か問題となる可能性は低いでしょう。 (下記のNextbit Robinの充電を参照)


次はSouce_Capabilitiesメッセージで通知するPDOです。

左が5Aケーブルを使用した場合で、右が3Aケーブルを使用した場合です。

USB PDの仕様上、3Aより大きい電流を流す場合は「このケーブルは5Aに対応しているか」というチェックが入るため、3Aケーブルを使用した場合は最大60Wに出力が制限されます。


じっくり読んでいる人の中には「3.3〜21.0V 3.25Aって21.0 x 3.25 = 68.75なので、65Wを超えていてダメなのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、結論から言うとPowerPort III 65W Podはセーフです。

USB PD Revision 3.0 Version 1.2以降、PPSのPDO (APDO) の28ビット目 (B27) には「PPS Power Limit」という項目が割り当てられています。このビットが有効になっている場合、供給される電流はPDP (今回の場合は65W) を超えないように制限されます。

↑はUSB PDパケットアナライザー DTW2U3でキャプチャーしたSource_Capabilitiesメッセージです。この中の「Data Object #5」がPPS 3.3〜21.0V 3.25AのPower Data Objectです。

C9A42141は16進数なので2進数に直すと1100 1001 1010 0100 0010 0001 0100 0001となります。

そしてこれはリトルエンディアンなので、先頭がB31、末尾がB0です。先頭から5ビット目、末尾から28ビット目のB27が1となっているため、PPS Power Limitのビットが有効になっていることが分かります。

色々充電してみた

Nextbit Robin

USB PD非対応・Quick Charge 2.0対応のNextbit Robinを充電したところ、Quick Charge 2.0が有効になり、約14Wが供給されていました。

OnePlus 7T

OnePlus 7Tを5A対応のApple USB-C充電ケーブル [A1739] で充電したところ、5V 3AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約13Wが供給されていました。

電圧・電流の経時変化を確認したところ、OnePlus 7Tに供給される電流が頻繁にゼロになるという現象が起きていました。そのため、OnePlus 7Tの充電に使うのは避けたほうが良いでしょう。 (この現象は他のACアダプター・ケーブルでも起きることを確認しているため、恐らくPowerPort III 65W Podの問題ではなくOnePlus 7Tの問題)

Redmi K20 Pro

Quick Charge 4+対応のRedmi K20 ProをApple USB-C充電ケーブル [A1739] で充電したところ、PPS 3.3〜11.0V 3.25AでUSB PDのネゴシエーションが行われてQuick Charge 4+が有効になり、約27Wが供給されていました。

ThinkPad Yoga 370

ThinkPad Yoga 370をApple USB-C充電ケーブル [A1739] で充電したところ、20V 3.25AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約61Wが供給されていました。

Nintendo Switch (2019)

Nintendo Switch (2019) をApple USB-C充電ケーブル [A1739] で充電したところ、15V 3AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約13Wが供給されていました。

TVモードも動作しました。

iPad Pro 11 (2018)

iPad Pro 11 (2018) をApple USB-C充電ケーブル [A1739] で充電したところ、15V 3AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約27Wが供給されていました。

iPad Air 2

USB PD非対応・Apple 2.4A対応のiPad Air 2をApple USB-C to Lightningケーブル [A1656] を使って充電したところ、Apple 2.4Aで充電され、約13Wが供給されていました。

過電流保護テスト

Anker A2712121には過電流保護回路が実装されており、5V・9V・15V・20Vの各電圧で約3.7Aを超えると出力がシャットダウンされました。

まとめ : 誰にでもオススメできるUSB PD充電器

オススメ度: ★★★★★★★★★☆ (10点中9点)

PowerPort III 65W Podは最大65Wまで出力することができるため、スマートフォンだけでなくノートPCの充電にも利用することができます。

PPS (Programmable Power Supply) にも対応しているため、「Quick Charge 4/4+」対応スマートフォンや、「Super Fast Charging」に対応しているGalaxy S20・Note10・Note20シリーズを急速充電することが可能です。

Quick Charge 3.0などをUSB Type-C製品に実装することは厳密にはUSB Type-C仕様違反となるため★マイナス1としますが、実用上何か問題になることはないと考えられるため、あまり気にする必要はないでしょう。むしろ、Xperia XZやXperia X Compactといった「USB Type-CなのにUSB PDに対応していないスマホ」も急速充電できるため、メリットのほうが大きいのではないでしょうか。

3000円を切る価格でありながらそれなりにコンパクトなサイズであり、性能的にも十分であるため、「迷ったらとりあえずこれ買っとけ」的なACアダプターだと思います。

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