Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W ミニレビュー

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Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W (モデル番号:A1246) を購入したので簡単にレビューします。

レビューしている製品

レビューしているモバイルバッテリーは↓です。Amazonマーケットプレイス出品者「AnkerDirect」が販売していた個体を購入しました。

開封

パッケージに含まれている物は以下の通りです。

  • Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W (A1246) 本体
  • USBケーブルと変換アダプター
  • 収納ポーチ
  • ストラップ
  • ドキュメント類

バッテリー本体はあとで詳しく見ていくとして、付属品に関しては正直何も付属してこないほうがマシです。

まず、変換アダプターが最悪です。細かい話は以下の記事で説明していますが、そもそも仕様で明示的に禁止されているタイプのアダプターであることに加えて、「電源供給側がどれぐらいの出力に対応しているか」ということの判定に使われる抵抗に誤った値の抵抗が使用されており、このアダプターを使って別の充電器やPCに接続すると電源側の機器に設計以上の負荷が掛かる恐れがあります。燃えないゴミの日に捨てたほうが良いです。

Ankerのモバイルバッテリーに付属してきた変換アダプターが最悪だった
Ankerのモバイルバッテリーに付属してきた変換アダプターがUSB Type-Cの仕様に全く準拠していない最悪の代物だったので、何が最悪なのか解説します。

また、収納ポーチの品質が低く、めちゃめちゃ糸クズが出てきます。

個人的にはこんな糸クズ発生装置なんか使う気になりませんし、付属してきても全く嬉しくないんですが、Ankerの社員はこのポーチが付属してきたら購入者が喜ぶと本気で思っているのでしょうか。だとしたら当然Anker社員もこのポーチを使っているはずなので、きっとAnker社員のカバンの中はみんな糸クズまみれだと思います。

重量・定格表示

付属品の話はこれぐらいにして、バッテリー本体に移ります。

重量は194gでした。 (公称194g)


PowerCore 10000 Redux
Model/品番: A1246
Cell Capacity/電池容量: 10000mAh / 37Wh
定格容量: 6600mAh
定格電圧: 5V
USB-C Input/入力: 5V⎓3A / 9V⎓2A
USB-C Output/出力: 5V⎓3A / 9V⎓2.78A
USB-C PPS Output/出力: 3.3-6V⎓3A / 3.3-11V⎓2.78A (25W Max)
USB-A Output/出力: 5V⎓3A / 9V⎓2A / 12V⎓1.5A
USB-A Protocol Output/出力: 4.5V⎓5A / 5V⎓4.5A
Total Output/出力: 5V⎓3A Max
Anker Innovation Limited.
Made in China
PSEマーク: 丸形 / アンカー・ジャパン株式会社

このバッテリー外装の表示に関しては、2つ気になる点があります。

まず1つ目が、バッテリーの外装には3.3-11V⎓2.78Aと印刷されているのに対して、実際のUSB PDのパケットでは3.3-11V⎓2.75Aが通知される点です。製品外装の定格表示は必ずしもUSB PDのパケットと同じ数値を記載する必要はなく、あくまで物理的に出力される電圧や電流の値を記載するのが原則という認識ですが、他の箇所ではUSB PDのパケットと同じ数値を記載しているのに、ここだけ一致していないのは変です。

もう1つが、「USB-A Protocol Output」の表示です。何らかの充電規格を指しているっぽいということは何となく伝わりますが、「USB-A Protocol Output」では普通に意味不明です。真上の「USB-A Output」と分けられているのも意味不明なので、まとめて「USB-A Output/出力: 4.5V⎓5A / 5V⎓4.5A / 9V⎓2A / 12V⎓1.5A」と記載しておけば良い気がします。

対応する充電規格

AVHzY CT-3を使って、対応している充電規格を調べました。

AVHzY CT-3 (Shizuku) レビュー
ACアダプターが対応している急速充電規格を検出したり、対応するUSB PDの電圧・電流の組み合わせを表示することのできるAVHzY CT-3 (Shizuku) を購入したので、機能や使い勝手などを簡単にレビューします。

インジケーター4つ点灯状態

LEDインジケーターが4つ点灯している状態、つまりバッテリー残量が十分にある状態では、以下の充電規格に対応します。

USB PDで対応する出力は以下の通りです。 (最大25W)

  • 5.0V⎓3.0A (Fixed)
  • 9.0V⎓2.78A (Fixed)
  • 3.3-6.0V⎓3.0A (PPS)
  • 3.3-11.0V⎓2.75A (PPS)

USB Type-Cポートが対応しているUSB PD以外の充電規格は以下の通りです。

  • USB BC DCP
  • Apple 2.4A
  • Qualcomm Quick Charge 2.0/3.0 (Class A)

USB Standard-Aポート側が対応する充電規格は以下の通りです。

  • USB BC DCP
  • Apple 2.4A
  • Qualcomm Quick Charge 2.0/3.0 (Class A)
  • Huawei FCP
  • Huawei SCP (22.5W)

インジケーター2つ点灯状態

Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W (A1246) のUSB PD出力はバッテリー残量が少なくなってくると最大出力が低下します。

最大出力が低下した状態では、USB PDは以下の出力に対応します。 (最大20.7W)

  • 5.0V⎓3.0A (Fixed)
  • 9.0V⎓2.3A (Fixed)
  • 3.3-6.0V⎓3.0A (PPS)
  • 3.3-11.0V⎓2.3A (PPS)

上記の写真ではインジケーターが2つ点灯している状態ですが、2つに減ったからといってすぐにUSB PDの出力が低下するわけではなく、インジケーターが2つになってさらにバッテリー残量が減ったところで出力が低下する模様です。 (40%ぐらい?)

USB PD以外の充電規格については特に変化はないようです。

いろいろ充電してみた

Galaxy S20 FE

Galaxy S20 FEを充電したところ、3.3-11.0V⎓2.78AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約24Wが供給されていました。

iPhone XR

USB Type-Cポート側でiPhone XRを充電したところ、9.0V⎓2.78AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約15Wが供給されていました。

USB Standard-Aポート側でiPhone XRを充電したところ、約10Wが供給されていました。

iPad Pro 11 (2021)

iPad Pro 11を充電したところ、9.0V⎓2.78AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約25Wが供給されていました。

ThinkPad Yoga 370

ThinkPad Yoga 370を充電したところ、9.0V⎓2.78AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約22Wが供給されていました。

スペック通りの電池容量かチェック

スペックに記載されている通りの電池容量がちゃんとあるかを確認しました。

Anker PowerCore 10000 PD Redux 25W (A1246) の製品外装には、電池容量が10000mAh / 37Wh、定格容量が6600mAh、定格電圧が5Vと記載されています。

電池容量が37Whなので、効率が100%であれば、理論上は5Vで7.4Ah (7400mAh) を取り出せるはずです。

満タンまで充電した状態で5V⎓2A (10W) の負荷を掛け続けたところ、約3時間36分 (3.6h) で出力がストップしました。そのため、計算上の実容量は36Whということになります。

このテストはごく簡易的なものですが、電池容量37Whの9割超である36Whを実際に出力できているので、電池容量に関してはスペックに偽りはないと考えてよさそうです。

所感:バッテリー本体は良いけど付属品がダメ

それでは総括します。

まずバッテリー本体ですが、これについては多くの人がAnkerに期待しているであろう品質やスペックは満たしているのかなと思います。10000mAh / 37Whなので大きすぎず小さすぎず、日常的に使うのにも適していますし、旅行などお出かけの際に使うのも良いでしょう。手荷物として飛行機内に持ち込むこともできます。

実際に使ってみても、「スマホを充電しようと思って繋いだら、逆にスマホから電力が吸い取られた」というような意味不明な挙動はないですし、最大25Wまで出力できるのでノートPCを充電……とまではいかなくとも延命することが可能です。そして何よりモバイルバッテリーとしては珍しくUSB PD PPSに対応しているため、Super Fast Charging対応のGalaxyスマートフォンやQuick Charge 4/4+対応スマートフォンを超急速充電することができます。

一方で、付属品がダメダメです。ポーチは糸クズ無限発生装置だし、変換アダプターはUSBの仕様をガン無視している代物だし、褒めるところがないです。何も付属してこないほうがマシです。

ポーチに関しては所持品が糸クズまみれになるだけなのでともかくとしても、変換アダプターがあまりにもひどいです。10kΩだの56kΩだのという話は2016年とか2017年の時点で終わっている話であり、2021年にもなって今さらこんなものを製品化しているのはかなりヤバいです。越境EC系周辺機器ブランドの中ではAnkerは比較的マシな部類だと思っていましたが、今後はこの認識を改めようと思います。

こういった諸々の要素も考慮すると、付属品も含めたトータルのパッケージとしてのAnker PowerCore 10000 PD Redux 25W (A1246) はオススメできないという結論です。