Apple純正のUSB-Cケーブル・Thunderboltケーブルの見分け方を解説します。
はじめに
以前、当ブログでは以下のような記事を書きました。
この記事では「ロゴのないUSB Type-Cケーブルは最低スペック、具体的にはUSB 2.0・USB PD 60Wのケーブルだと見なしましょう」と説明しました。大抵のケーブルはこのように判断せざるを得ないのですが、1つだけ例外があります。それが今回取り上げるApple純正のUSB-Cケーブル・Thunderboltケーブルです。
Apple製のケーブルはほぼすべてが単体の製品として販売されていて普通に購入することができます。「付属品が単体販売されている」と言うよりも「単体販売されている製品がiPhoneやiPad、Macに付属している」と表現したほうが近いかもしれません。これのおかげで「このiPhoneに付属しているケーブルは単体販売されている◯◯という型番のものと同じだから、スペックは△△だ」という識別を高い精度で行うことができます。
それでは早速、Apple純正のUSB-Cケーブル・Thunderboltケーブルの外見的特徴とスペックを解説していきます。
60W USB-C充電ケーブル (1m)
iPhone 15シリーズや、比較的最近のiPadに付属しているケーブルがこれです。このケーブルの特徴は被膜が編み込みである点です。
iPhoneやiPadに付属してきたケーブルで、被膜が編み込みの場合、このケーブルに該当します。
外見的特徴 | 白色 コネクターの持ち手部分にロゴなし ケーブル長が1m 被膜が編み込み |
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スペック | USB: USB 2.0 Thunderbolt: 非対応 DisplayPort: 非対応 USB PD: 最大60W |
型番 | A2795 MQKJ3FE/A |
このケーブルが 付属する製品 | iPhone 15シリーズ USB-C iPad 各モデル (2022年10月頃以降に販売されたもの) |
発売時期 | 2022年10月 (iPad Pro M2・iPad 第10世代と同時) |
240W USB-C充電ケーブル (2m)
60W USB-C充電ケーブル (1m) と似ていますが、240WのほうはUSB-Cコネクターの金属部分に小さく「240W」と印字があるようです。また、240W版はケーブル長が2mなので、そこでも識別できます。
外見的特徴 | 白色 コネクターの持ち手部分にロゴなし ケーブル長が2m 被膜が編み込み コネクターの金属部分に「240W」の印字あり |
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スペック | USB: USB 2.0 Thunderbolt: 非対応 DisplayPort: 非対応 USB PD: 最大240W |
型番 | A2794 MU2G3FE/A |
このケーブルが 付属する製品 | なし |
発売時期 | 2023年9月 (iPhone 15シリーズと同時) |
[廃番] USB-C充電ケーブル (1m)
60W USB-C充電ケーブル (1m) と似ていますが、こちらはケーブルの被膜がLightningケーブルと同じような樹脂製です。
iPadに付属してきたケーブルで、被膜が編み込みではない場合、このケーブルに該当します。
外見的特徴 | 白色 コネクターの持ち手部分にロゴなし ケーブル長が1m 被膜が編み込みではなく樹脂 |
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スペック | USB: USB 2.0 Thunderbolt: 非対応 DisplayPort: 非対応 USB PD: 最大100W |
型番 | A1997 MUF72FE/A (2018-2021) MM093FE/A (2021-2023) |
このケーブルが 付属する製品 | USB-C iPad 各モデル (2022年10月頃までに販売されたもの) |
発売時期 | 2018年10月 (iPad Pro 11インチ 第1世代と同時) |
[廃番] USB-C充電ケーブル (2m)
MacBookシリーズに付属してきたケーブルはすべてこれに該当します。
たまに勘違いしている方がいますが、MacBookシリーズ付属のケーブルはすべてこれなので、Thunderboltケーブルではありません。Thunderbolt接続や映像出力 (DisplayPort) には対応していません。
外見的特徴 | 白色 コネクターの持ち手部分にロゴなし ケーブル長が2m 被膜が編み込みではなく樹脂 |
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スペック | USB: USB 2.0 Thunderbolt: 非対応 DisplayPort: 非対応 USB PD: 最大100W |
型番 | A1739 MLL82AM/A |
このケーブルが 付属する製品 | USB-C MacBookシリーズ |
発売時期 | 2016年10月? (MacBook Pro 2016と同時?) |
余談: USB-C充電ケーブル (2m) には上記に加えて2015年の12インチMacBookと共に導入されたA1646, MJWT2AM/Aという型番も存在します。この型番は2016年にリコールになり、A1739と置き換えられました。
Thunderbolt 4 Proケーブル (1m)
外見的特徴 | 黒色 コネクターの持ち手部分にThunderboltロゴ ケーブル長が1m コネクターの持ち手部分が短い |
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スペック | USB: USB 40Gbps Thunderbolt: 対応 DisplayPort: 対応 USB PD: 最大100W パッシブケーブル |
型番 | A2804 MU883FE/A |
このケーブルが 付属する製品 | なし? |
発売時期 | 2023年9月 (iPhone 15シリーズと同時) |
Thunderbolt 4 Proケーブル (1.8m)
外見的特徴 | 黒色 コネクターの持ち手部分にThunderboltロゴ ケーブル長が1.8m |
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スペック | USB: USB 40Gbps Thunderbolt: 対応 DisplayPort: 対応 USB PD: 最大100W アクティブケーブル |
型番 | A2734 MN713ZA/A |
このケーブルが 付属する製品 | なし |
発売時期 | 2022年3月 (Mac Studio (M1)と同時) |
Thunderbolt 4 Proケーブル (3m)
外見的特徴 | 黒色 コネクターの持ち手部分にThunderboltロゴ ケーブル長が3m |
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スペック | USB: USB 40Gbps Thunderbolt: 対応 DisplayPort: 対応 USB PD: 最大100W アクティブケーブル |
型番 | A2162 MWP02ZA/A |
このケーブルが 付属する製品 | なし |
発売時期 | 2022年3月 (Mac Studio (M1)と同時) |
[廃番] Thunderbolt 3 Proケーブル (2m)
外見的特徴 | 黒色 コネクターの持ち手部分にThunderboltロゴ ケーブル長が2m |
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スペック | USB: USB 40Gbps Thunderbolt: 対応 DisplayPort: 対応 USB PD: 最大100W アクティブケーブル |
型番 | A2279 MWP32ZA/A (2019-2021) ML8E3ZA/A (2021-2022) |
このケーブルが 付属する製品 | Pro Display XDR |
発売時期 | 2020年6月 |
[廃番] Thunderbolt 3ケーブル (0.8m)
外見的特徴 | 白色 コネクターの持ち手部分にThunderboltロゴ ケーブル長が0.8m |
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スペック | USB: USB 40Gbps Thunderbolt: 対応 DisplayPort: 対応 USB PD: 最大100W パッシブケーブル |
型番 | A1896 MQ4H2FE/A |
このケーブルが 付属する製品 | なし |
発売時期 | 2017年12月 |
謎のStudio Display付属ケーブル
Studio Displayを所有している人限定の話ですが、Studio Display付属のThunderboltケーブルには少し注意が必要です。
Studio Displayのスペックでは「Thunderboltケーブル (1m)」が付属していると書かれています。外観が非常に似ておりケーブル長も一致するため、普通に考えれば単体販売されているThunderbolt 4 Proケーブル (1m) と同じものが付属しているように思えますが、一部のStudio Display (初期のロット?) に付属していたThunderboltケーブルはThunderbolt 4 Proケーブル (1m) とは別物である可能性があります。
2つのStudio Displayに異なるケーブルが付属してきたという投稿がRedditにありました。
外見的にはコネクターの持ち手部分の長さが異なるだけですが、内部のハードウェアは全くの別物である可能性があります。持ち手部分が短いほうは十中八九パッシブケーブルですが、持ち手部分が長いほうはアクティブケーブルである可能性が否定できません。Appleはケーブルの持ち手部分をできる限り短くするのが大好きで、各種LightningケーブルやUSB-C充電ケーブルなんかは持ち手部分が短すぎて挿抜しづらいぐらいなので、そんなAppleが無意味に持ち手を長くするとは考えにくいです。通常、アクティブケーブルはリタイマー・リドライバーICの分だけ持ち手部分が長くなるので、おそらく長い方はアクティブケーブルでしょう。
もし持ち手部分が長いほうのケーブルがアクティブケーブルだった場合、単体販売されているThunderbolt 4 Proケーブル (1m) はパッシブケーブルであるため、この2つはハードウェア的に別物ということになります。
実用上は長い方も短い方もThunderbolt 4 Proケーブル (1m) と概ね同等に機能すると考えられますが、もし持ち手部分が長いケーブルを所有している場合は「Thunderbolt 4 Proケーブル (1m) とは似て非なるケーブルかもしれない」ということを頭の片隅に置いておくと何かの際に役に立つかもしれません。
おわりに
ということで、Apple純正のUSB-Cケーブル・Thunderboltケーブルの見分け方やスペックを解説しました。
製品名 | 色 | 被膜 | ケーブル長 |
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60W USB-C充電ケーブル (1m) | 白 | 編み込み | 1m |
240W USB-C充電ケーブル (2m) | 白 | 編み込み | 2m |
USB-C充電ケーブル (1m) | 白 | 樹脂 | 1m |
USB-C充電ケーブル (2m) | 白 | 樹脂 | 2m |
Thunderbolt 4 Proケーブル (1m/1.8m/3m) | 黒 | 編み込み | 1m/1.8m/3m |
Thunderbolt 3 Proケーブル (2m) | 黒 | 編み込み | 2m |
Thunderbolt 3ケーブル (0.8m) | 白 | 樹脂 | 0.8m |
Apple製USB-Cケーブル・Thunderbolt 3/4ケーブルはすべて網羅しているはずなので、もし素性の分からないApple製ケーブル出てきた場合は、本記事を識別の参考にしてもらえれば幸いです。