※記事の内容上、やむを得ずシングルレーン、デュアルレーン、Gen 3×1、Gen 3×2といった表現を使用しますが、これらは本来技術者向けの表現なので、本記事のマネをしてこれらの表現をむやみに使用するのはやめましょう。
USB4について検索すると、シングルレーンだのデュアルレーンだのGen 3×1だの言っているサイトが複数ヒットします。某PC周辺機器メーカーのサイトなどでもこのような説明がされていますが、USB4についてシングルレーンやデュアルレーンと言っている文章はすべて間違っていると思ってください。
なぜすべて間違っていると言い切れるのかというと、USB4の20Gbps伝送がGen 3×1だと誤った理解をしていない限り、シングルレーンやデュアルレーンといった単語は出てこないからです。USB4は原則すべてデュアルレーン動作なので、USB4がどのように動作しているか基本を理解している人は、そもそもレーン数に言及しません。シングルレーン・デュアルレーンなどと言っているサイトは、USB4の20Gbps伝送についてシングルレーン・Gen 3×1だと誤った説明しているものばかりです。USB4の20Gbps伝送はGen 3×1ではなくGen 2×2です。
もし仮にUSB4の20Gbps伝送がGen 3×1である場合、USB4 20Gbpsケーブルの最大ケーブル長はGen 3×2と同じになります (どちらもGen 3なので) 。つまり、最大ケーブル長はGen 3×2と同じで帯域はGen 3×2の半分です。これに対してGen 2×2では、Gen 2はGen 3より低速 = ケーブルに対する要求がGen 3より下がるため、最大ケーブル長をGen 3より長くすることができます。つまり、Gen 2×2であれば最大ケーブル長をGen 3より長くできるという利点があるのに対して、Gen 3×1では最大ケーブル長はGen 3×2と同じなのに帯域はGen 3×2の半分という、ユーザーにとって何の利点もないただのGen 3×2の劣化版になるわけです。そんな意味のない仕様になっているわけないですよね。
実際に販売されているケーブルからも、同様のことを説明できます。現在実際に販売されているUSB4 20GbpsケーブルはGen 2×2ケーブルです。Gen 2とGen 3ではGen 3のほうが高速なため、ケーブルへの要求も高くなる = Gen 2ケーブルでGen 3の伝送はできません。つまり、もし仮にUSB4の20Gbps伝送がGen 3×1である場合、今現在実際に販売されているUSB4 20GbpsケーブルではUSB4 20Gbps伝送ができないということになります。そんなアホみたいな仕様になっているわけないですよね。
このように、USB4の20Gbps伝送がGen 3×1だという説明は様々な部分で理屈が通りません。 (間違っているのだから当然ですが)
マニアでない人には分かりにくい話だったかもしれませんが、一般的なエンドユーザーはこれらのことを理解する必要も、覚える必要もありません。
一般的なエンドユーザーの方は、
- USB4についてシングルレーンやデュアルレーン、Gen 3×1といった語句を使用している説明はすべて内容が誤っているので信じない
- 上で説明したようなことは一切覚える必要も、理解する必要もない
- USB4についてレーン数を気にする必要はなく、20Gbpsや40Gbps, 80Gbpsといった速度だけ気にすれば良い
ということを覚えて帰ってください。