USB 3.2 20Gbps (Gen 2×2) をサポートしているSSDケース「SilverStone MS12」を購入したのでレビューします。
開封
パッケージに入っているのはMS12本体、ドライバー、ケーブル、ドキュメント、サーマルパッドです。 (写真に写っていないですが冷却用のサーマルパッドも付属します)
持ち運び用のポーチが付属していると嬉しかったですが、そういったものは付属しません。
メイン基板をヒートシンク代わりのケースで挟み込むような構造となっています。ケースは肉厚なアルミ (たぶん) でできており、安物のペラい・チャチい感じはありません。
SSDケースは「ツールレス」とか何とか言ってスライド式になっているものも多いですが、スライド式だと冷却用のサーマルパッドをうまく装着できないため、冷却のことも考えるとサンドイッチ式がベターです。ネジを外すのは多少面倒ですが、普通は中身のM.2 SSDを頻繁に入れ替えたりしないですし、20GbpsぐらいになってくるとコントローラーもSSDも結構発熱するため、USB 3.2 20GbpsのSSDケースではこれがベストな構造だと思います。
謎の物体が塗られていて読めませんが、使用されているコントローラーはASMedia ASM2364です。
SSDを装着するとこんな感じ。
USB仕様に準拠しているかチェック
以前購入したUSB 3.2 20Gbps SSDケースがUSB Type-Cの仕様通りに設計・製造されておらず、一部のPCで正常に動作しないということがあったので、SilverStone MS12についてもUSB Type-Cの仕様通りになっているか調べました。
まずMS12本体ですが、USB Type-Cの仕様通り5.1kΩでプルダウンされていました。ヨシ。
付属のケーブルはeMarkerが実装されていない仕様違反品でした。ゴミ。
USB 3.x以上のUSB Type-CケーブルはE-Markedでなければならない (必ずeMarkerを実装しなければならない) ため、このケーブルはUSB Type-Cの仕様に違反しています。SilverStone MS12専用で使う分にはこのケーブルでも一応動きはしますが、このような仕様違反品が手元にあると後々トラブルの元になるので、MS12専用でも使うのは推奨はしません。箱にしまっておくか捨てましょう。
SilverStone MS12に限らず、付属品のUSBケーブルはコストカットのために低品質なものである場合が非常に多いため、Appleなどの一流メーカーの付属品でもない限りは基本的に信用しないほうが良いです。マトモなケーブルが欲しい場合は、別途バラ売りされているケーブルを買いましょう。
ベンチマーク・互換性チェック
SilverStone MS12を各種デバイスに接続し、ベンチマークや互換性チェックを行いました。
なお接続には付属のケーブルではなくThunderbolt 4 80cmパッシブケーブルを使用しました。
USB 3.2 20Gbpsポート
ASMediaのUSB 3.2 20Gbpsホストコントローラー ASM3242を搭載したPCに接続してベンチマークを行ったところ、USB 3.2 10Gbps (1250MB/s) を超える2000MB/sが出ました。
Thunderbolt 4ポート
Lenovo Yoga Sim 7 14ITL05 (Intel Core i5-1135G7) のThunderbolt 4ポートに接続してベンチマークを行ったところ、約1000MB/sという結果となりました。
基本的にThunderbolt 4ポートはUSB 3.2 20Gbpsをサポートしておらず、USB 3.2 10Gbps止まりです。テストに使用したLenovo Yoga Sim 7 14ITL05も10Gbpsしかサポートしていないため、これは正常な結果です。
iPhone 15
iPhone 15のUSBポートに接続したところ、正常に読み書きできました。
Galaxy S20 FE / Pixel 6a
AndroidホストとしてGalaxy S20 FEとPixel 6aに接続してみたところ、どちらも接続すると一応認識はされるものの、読み書きをしようとするとフリーズし、正常に使用することができませんでした。
カーネルのバージョンがもっと上の最新モデルであれば正常に使えるかもしれませんが、Androidでのサポートはイマイチなようです。 (カーネルのバージョンはGalaxy S20 FEが4.19.87、Pixel 6aが5.10.177)
連続使用時の温度
参考までに、連続して読み書きした際の温度を書いておきます。
Samsung PM981を入れて室温23℃で15分間連続して読み書きした場合のSSDの温度は最高でも約60℃で、それより高くなることはありませんでした。また、読み書きが終わるとみるみる温度が下がっていっていきました。
読み書き中や直後にケースを触ると熱く感じますが、ヒートシンクとしてちゃんと機能しているようです。
所感
USB 3.2 20Gbps SSDケースとしてはこれがベストではないでしょうか。冷却のことも考えられていますし、ハズレを引きたくない人はとりあえずこれを買っておけばいいと思います。
問題は値段ですね。今回レビューしたSilverStone MS12は実売9000円程度と、SSDケースとしては結構いい値段がします。これぐらいの価格帯になってくると、より上位のUSB4 40Gbps SSDケースも視野に入ってくるので、そちらを検討してもいいかもしれません。ASM2464PDを採用しているSSDケースであれば、USB 3.2 20Gbpsもサポートしています。 (詳しくは以下の記事を参照)
オマケ: USB 3.2 20Gbps SSD・SSDケースのリスト
- SSD
- Samsung T9
- SanDisk SDSSDE81
- Crucial X10 Pro
- ADATA SE880
- ADATA SE900G
- Transcend ESD380C
- Kingston SXS2000
- Sabrent Rocket Nano V2
- Corsair EX100U
- Western Digital WD_BLACK P50 (ディスコン)
- Seagate FireCuda Gaming SSD (ディスコン)
- SSDケース
- SilverStone MS12
- ORICO M213C3
- ORICO M223C3
- ORICO M233C3
- エアリア SD-M2U32x2 (レビュー)
- 玄人志向 GWM.2NVMe-U3.2x2CC (ディスコン)