Galaxy S20 FE (Exynos) レビュー : Snapdragon版のほうが良さそう

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Galaxy S20 FE [SM-G780F/DS] を購入して2ヶ月ほどメイン端末として使ったのでレビューします。

スペック

機種名 (型番)Galaxy S20 FE (SM-G780F/DS)
ディスプレイ6.5 inch
2,400 x 1,080 px (20:9)
有機EL
120 Hz
端末サイズ159.8 x 74.5 x 8.4 mm
重量190 g
SoCExynos 990
RAM8 GB
ストレージ128 GB
microSD対応
前面カメラ画素数: 32 MP
F値: 2.2
画角: 80°
ピクセルサイズ: 0.8 μm
背面カメラ (メイン)画素数: 12 MP
F値: 1.8
画角: 79°
ピクセルサイズ: 1.8 μm
背面カメラ (超広角)画素数: 12 MP
F値: 2.2
画角: 123°
ピクセルサイズ: 1.12 μm
背面カメラ (望遠)光学3倍ズーム
画素数: 8 MP
F値: 2.4
画角: 32°
ピクセルサイズ: 1.0 μm
バッテリー4,500 mAh
急速充電USB PD PPS 25W
W-CDMA (3G)1/2/4/5/8
LTE (4G)1/2/3/4/5/7/8/
12/13/17/20/26/28/
32/38/40/41/66
NR (5G)非対応
Wi-Fi802.11 a/b/g/n/ac/ax
BluetoothBluetooth 5.0
イヤホンジャックなし
NFCあり
防水・防塵IP68
ワイヤレス充電対応 (15W)
ソースSamsung

Galaxy S20 FEには5G対応のS20 FE 5Gと、4G版のS20 FEの2種類がありますが、今回購入したのは4G版のほうのS20 FEです。

Galaxyスマートフォンは同じ機種でも投入地域によってSnapdragonプロセッサーとExynosプロセッサーを使い分けていることで有名ですが、Galaxy S20 FEに関しては

  • Galaxy S20 FE 5G = どの地域でもSnapdragon 865
  • Galaxy S20 FE (4G) = どの地域でもExynos 990

となっており、他のGalaxyスマートフォンと比べると分かりやすくなっています。

今回買ったのは4G版なのでExynos 990プロセッサーが採用されています。

開封・同梱品

今回購入したのはベトナム版です。

パッケージに入っていたのは以下のものでした。

  • Galaxy S20 FE本体
  • 画面保護シール (本体貼付け済み)
  • USBケーブル (Standard-A to Type-C)
  • ACアダプター (USB Standard-A、15W出力)
  • クイックスタートガイド的なペーパー
  • SIMトレー取り出し用ピン

余談ですが、Galaxy S20 FEの箱は色々なアイコンがデボス加工されていてポップな感じになっています。

ハードウェア

Galaxy S20 FEの外装はフレームがアルミ、背面がプラスチックで作られています。プラスチック製の背面はマットな仕上げで指紋が目立たず、落としても割れにくいというメリットもありますが、やはりガラスと比べると質感は劣る印象です。プラスチックはプラスチックです。

電源ボタン・音量ボタンの押し心地はまあまあです。クリック感が適度にあり、悪くはありません。

触覚フィードバック (Haptic Feedback) はひどいです。ただのバイブレーションです。

一方でパーツの工作精度はSシリーズの名に恥じないものになっています。

これはイヤースピーカーの切り抜き部分を写したものですが、写真の通り非常にタイトに切り抜きされています。肉眼ではかなりじっくり見ないと隙間が空いていることに気づかないレベルです。

また、タッチパネルとフレームの間もパッキンが挟まれておらず美しく仕上がっています。この辺はさすがですね。

ディスプレイ

Galaxy S20 FEのディスプレイはフレッシュレート120Hz、解像度2,400 x 1,080 pxの有機ELパネルを採用しています。上下のベゼル、特に下顎のベゼルがS20やS21と比べるとやや太いですが、コスト重視のためフレキシブルパネルではなくリジッドパネルを採用しているので仕方ないですね。

1番の売りはやはり何と言っても120Hzの高リフレッシュレートです。スクロールが非常にスムーズで、1度Galaxy S20 FEの120Hzディスプレイに慣れた後に60Hzディスプレイの機種を使うとコマ数が足りなく感じます。

また、表示品質も十分に綺麗です。最大輝度も屋外で問題なく視認できるほど明るいため、表示品質に関して不満に感じる人は少ないでしょう。

唯一ディスプレイ関係で難点を挙げるとすれば、フロントカメラ周りの謎の銀色のリングです。いつも目立つというわけではありませんが、黒っぽい内容を表示していたりするとまあまあ目立ちます。

どういった理由でフロントカメラが銀色に縁取られているのかは謎ですが、S21 FEはS20/S21みたいに目立たない感じにしてほしいところです。

パフォーマンス・ベンチマーク

Galaxy S20 FEはブラウジングやSNS、マップ、カメラといった一般的なスマートフォンの使用用途では十二分のパフォーマンスを発揮します。ストレージもUFS 3.1規格のフラッシュストレージを採用していて非常に高速なため、アプリの起動もスムーズです。

反面、ゲームの方は……どうでしょうね。パズドラのようなゲームだったら快適に動くと思いますが、原神やウマ娘のようなヘビー級は快適には動かない可能性が高いです。とりあえずデレステの3D MV 60fps 高精細はちょいちょいカクつきました。一般論として、ゲームはハイエンド市場で圧倒的なシェアを誇るSnapdragonのほうがExynosやMediaTekのSoCよりも快適に動作する場合が多いので、特にゲームをするのであればSnapdragonを採用しているS20 FE 5Gを選んだほうが良いかもしれません。

Geekbench 5, GFXBench, 3D Mark (Sling Shot / Wild Life) , Androbench, Antutuのスコアのスクショを置いておくので、必要な方はどうぞ。

カメラ

Galaxy S20 FEのカメラはメイン・超広角・望遠のトリプルカメラ構成となっています。

Androidスマートフォンでは「トリプルカメラ!」と宣伝をしたいがためにグレードの低いマクロカメラや補助カメラを搭載してスペースと予算を無駄遣いしている機種も多いですが、Galaxy S20 FEではそういった愚かな行為は行われていません。

実際に撮れる写真も良好です。マルチカメラな機種は「メインカメラはそれなりだけど他のカメラは微妙」という機種も少なくありませんが、Galaxy S20 FEは超広角・望遠も含めてトリプルカメラ全てちゃんと撮れます。

欠点を挙げるとすれば青空の色味がちょっとわざとらしいのが少し気になりますが、全体としてはかなり綺麗な写真が撮影できるという印象です。

Galaxyのカメラのわざとらしい感じは、食べ物の写真を撮る際には非常に良い方向に働きます。あまり見栄えのしない料理も実物以上においしそうに撮れるため、飯テロカメラとしての性能はかなり優秀です。

夜景モードもトリプルカメラ全てでちゃんと使えますし、Galaxy S20 FEのカメラはメイン・超広角・望遠を切り替えながら様々な場面で綺麗な写真を撮ることのできる、優秀なカメラだと思います。個人的には満足しています。

ちなみにシャッター音・スクショ音はバイブレーションモードやサイレントモードに設定していれば日本のSIMカードを入れていても鳴りません。

ソフトウェア

Galaxy S20 FEには、Samsungが「One UI」と呼んでいるSamsung独自カスタマイズのAndroid OS (Androidスキン) が搭載されています。

One UIになってからのGalaxyスマートフォンを使うのは初めてでしたが、思っていた以上に使いやすかったです。ホーム画面で↓方向にスワイプすると通知バーが降りてくるようになっていたり、トグルボタンが指が届きやすいように下側に寄っていたりと、近年のAndroidスマートフォンの大型化に合わせたUIとなっています。

プリインストールアプリも想像していたより少なく、個人的には許容範囲内でした。

また、Galaxyはセキュリティアップデートの頻度・早さがかなり改善され、アップデート期間も最低4年間に延長されているというのも見逃せないポイントです。

まずセキュリティアップデートについてですが、Google Pixelを除くとセキュリティアップデートは2か月に1回、3か月に1回というメーカーも少なくなく、以前のGalaxyも同様でした。しかしここ1〜2年でGalaxyは毎月アップデートが実施されるようになり、もちろん今回レビューしているGalaxy S20 FEも毎月セキュリティアップデートが降ってきています。

この「セキュリティアップデートの迅速化」に加えて、最近SamsungはGalaxy Sシリーズ、Zシリーズ、Aシリーズなどに関して「最低4年間セキュリティアップデートを行う」というアップデートポリシーを打ち出しました。さすがに3年目以降は3か月に1回ぐらいにペースが落ちるとは思いますが、4年のうちに多くの人が次のモデルに買い替えるであろうことを考えると、現役で使っている間はずっとセキュリティアップデートが実施されるということになります。最低4年というアップデート期間はGoogle Pixelをも上回るものであり、他のAndroidスマートフォンと比較して大きなアドバンテージと言えます。

なお、このアップデートポリシーは2019年以降に発売されたモデルに適用されるため、Galaxy S9・Note9シリーズなども4年間アップデートされるらしいです。過去のモデルにも適用されるのは非常に良いですね。

バッテリー持ち

Galaxy S20 FEのバッテリーは4,500mAhです。それだけのバッテリーを積んでいるのであればバッテリー持ちも……と言いたいところですが、実際のバッテリー持ちはそこまで良くはありません。ゲームなどの処理の重いタスクをほぼしない私の使い方で、1回の充電における画面点灯時間は6時間〜6.5時間ほどです。

このバッテリー持ちの原因として考えられるのは、120HzディスプレイとExynosプロセッサーの2つです。ディスプレイを120Hzで駆動させるとディスプレイそのものだけでなくプロセッサー側でもより電力を消費しますが、そのExynosプロセッサーはSnapdragonより電池食いだと評判なので、恐らくこの2つの両方がモリモリ電池を消費しているのでしょう。

事実、Galaxy S20 UltraのExynos版・Snapdragon版のバッテリー持続時間を検証しているレビューがあり、これによるとExynos版よりSnapdragon版の方が1時間ほど稼働時間が長いようです。そのため、同じSoCを採用しているGalaxy S20 FEも、Exynos版よりSnapdragon版の方がバッテリー持ちが良いのではないかと思われます。

Galaxy S20 FE 充電仕様調査
対応している急速充電規格やDisplayPort Alternate Modeなど、Galaxy S20 FEのUSB Type-Cポートの仕様を調べてみました。 ※Galaxy S20 FE SM-G780F/DS (Android 11

付属の15W ACアダプターだと1.5時間〜2時間ぐらい充電に時間が掛かりますが、USB PD PPSに対応したACアダプターを使ってGalaxyの超急速充電規格「Super Fast Charging」で充電すれば1時間ちょっとで充電が終わるので、その辺を活用すれば電池持ちの悪さも多少はカバーできます。

指紋認証

Galaxy S20 FEはディスプレイ埋め込み型センサーによる指紋認証に対応しています。S20シリーズはQualcommの超音波式センサーを採用していますが、S20 FEではGoodixの光学式センサーが採用されています。

肝心の使い勝手はまずまずです。従来の静電容量式センサーと比べると速度的にも精度的にも劣るのは否めませんが、ちゃんと指紋センサーの真上に指を当てれば私の指ではほぼ100%認証に成功するため、使い勝手は悪くないです。ディスプレイ埋込み型の光学式センサーを採用している機種はいくつか使ってきましたが、Galaxy S20 FEは標準的だと思います。

指紋認証の性能そのものよりも不満なのが「指紋を3つまでしか登録できない」という点です。

Galaxy S20 FEのように前面に指紋センサーが配置されている機種では、手で持っている時は親指、机に置いている時は人差し指で指紋認証を行うため、両手合わせて最低でも4個は登録させてほしいところです。仕方ないので左手の人差し指が登録されていない状態で使っていますが、「左手の人差し指は登録されていない」ということを意識して使わなければならず、若干のストレスです。

スピーカー

思っていた以上に良かったのがスピーカーです。Galaxy S20 FEはイヤーピースと底面スピーカーのデュアルスピーカーによるステレオ仕様となっていますが、なかなかの音質です。

Galaxy S20 FEはDolby Atmosに対応しており、これをオンにするとサウンドがより立体的になります。「スマホのスピーカーごときで大げさな……」と思うかもしれませんが、特にライブ映像などは臨場感が増すため、個人的にはDolby Atmosをオンにすることをオススメしたいです。

https://www.youtube.com/watch?v=10ict3GCxGY

スピーカーの音が良いと、YouTubeやNetflixなどの動画コンテンツの視聴がはかどります。

Xperiaシリーズが「21:9ディスプレイはシネスコとほぼ同じアスペクト比なので映画などを観るのに最適!」というようなマーケティングをしていますが、Galaxy S20 FEも20:9なのでほぼ画面いっぱいに映像を映すことができます。Dolby Atmos対応のスピーカーと相まって、動画鑑賞にもなかなか好適という印象です。

まとめ: コストカットの跡はあるが実用性は高い

Galaxy S20 FEを買ってから3か月ほどメインスマホとして使いましたが、バランスよくまとまっているモデルだと思います。120Hzディスプレイのスクロールは非常になめらかでパフォーマンスも普段使いには十分、カメラはメイン・超広角・望遠と揃っていてあらゆる場面に対応でき、撮れる写真もキレイで使っていて楽しいです。追加でACアダプターを買って25W充電を使えば1時間ちょっとで充電が完了するので、「寝る前に充電し忘れた!」なんて朝でも身支度をしている間に充電しておけば1日持ちます。

ただし背面がプラスチックだったり触覚フィードパックがただのバイブレーションだったりと、各所でコストカットはされています。実用性に関わる部分ではハイエンド並のものをもっていますが、細かいところで差別化されているという印象です。

また、Exynos版は恐らくExynosプロセッサーが原因でバッテリー容量の割にそこまで電池持ちが良くないので、もし買うのであればSnapdragon 865を搭載しているGalaxy S20 FE 5Gの方をオススメします。

電池持ち以外はバランスよくまとまっていてオールラウンドな良機種だと思います。