種類が多すぎて訳が分からなくなってきたので、Samsung・Xiaomi・OPPO・realme・OnePlus・vivo・Huaweiのスマートフォンの急速充電規格について簡単にメモしておきます。
個人的なメモ・備忘録なので、ちゃんと裏取りをしていません。また、機種名などが正確ではないです。
Samsung
充電規格名 | ワット数 (目安) | 初採用モデル | 付属ACアダプターの定格出力 | 付属ACアダプターのコネクター形状 | ハンドシェイク | 独自ケーブル |
---|---|---|---|---|---|---|
Adaptive Fast Charging | 15W / 25W | Galaxy S6 | 9V⎓1.67A / 12V⎓2.1A | USB Standard-A | 独自方式 | 不要 |
Super Fast Charging | 25W | Galaxy S10 5G | 3.3-11V⎓2.78A | USB Type-C | USB PD PPS | 不要 |
Super Fast Charging 2.0 | 45W | Galaxy Note10+ | 3.3-11V⎓5A | USB Type-C | USB PD PPS | 不要 (要5Aケーブル) |
Adaptive Fast Charging
Samsung Adaptive Fast Charging、略してSamsung AFCです。
Samsungの公式HPによると、AFCに初めて対応したのはGalaxy S6シリーズの模様です。YouTubeで開封動画を漁ってみるとGalaxy S5までは5V⎓2A充電器が、Galaxy S6にはAFC充電器が付属していたようなので、公式HPの記載通りGalaxy S6シリーズ以降がAFCに対応していると思われます。
Galaxyスマートフォンに付属してくるAFC対応ACアダプターは基本的に定格9V⎓1.67Aの15W品ですが、定格12V⎓2.1Aの25W品もバラ売りされています。そのため、AFC 25Wで充電できるモデルもあるっぽいです。 (詳しくは知らない)
独自ケーブルは存在せず、汎用品でOKです。
Super Fast Charging
AFCの後に登場したのがSuper Fast Chargingです。長いのでSFCと略したりします。某大学のキャンパス名ではない。 日本語では「超急速充電」と表記されるため、あまり充電規格名っぽくないですが、れっきとした固有名詞です。
Samsungの公式HPではSuper Fast Chargingに対応するようになったのはGalaxy S20シリーズからであるかのような説明がされていますが、SFCに初めて対応したのはGalaxy S10 5Gです。 (※S10 5Gは現在で言うところのUltraに相当し、通常のS10とは別のモデル)
S10 5G以外だと、Note10, S20, S20+, Note20, Note20 Ultra, S20 FE, S21, S21+, S21 Ultraなどハイエンドモデルのみが対応していましたが、最近はGalaxy A52やA33といったミッドレンジでも対応しているようです。
SFCは最大25Wで、スマートフォン – ACアダプター間のハンドシェイクにはUSB PD PPSを使用します。そのため、Samsung純正品ではなくサードパーティ製品でもUSB PD PPS 3.3-11V⎓2.78A以上に対応しているACアダプターであれば、SFCで対応スマートフォンを充電することができます。
ケーブルもその辺のUSB Type-CケーブルでOKです。独自ケーブルは存在しません。
Super Fast Charging 2.0
Super Fast Chargingの約半年後に登場したのがSuper Fast Charging 2.0です。SFCは最大25Wでしたが、SFC 2.0では最大45Wにパワーアップしています。ただし、最大45Wといっても純正ACアダプターの定格が45Wというだけであり、実際は最大でも35W程度での充電となるようです。 (Galaxy Note10+やS20 Ultraの場合)
SFC 2.0に初めて対応したのはGalaxy Note10+で、Note10+以外だとS20 UltraやTab S7/S7+が対応しています。 (Galaxy Tab S7/S7+は製品ページでは充電について特に言及がないが、プレスリリースに45W充電と書いてある)
SFCと同様に、SFC 2.0もスマートフォン – ACアダプター間のハンドシェイクにUSB PD PPSを使用するため、サードパーティのACアダプターでもSFC 2.0で充電することは可能です。ただ、SFC 2.0で充電するためにはACアダプターがUSB PD PPS 3.3-11V⎓5.0Aに対応している必要があり、多くのサードパーティ製ACアダプターは3.0A止まりであるため、この点には注意が必要です。
ケーブルも汎用品でOKですが、SFC 2.0では3Aを超える電流が流れるため、5A (100W or 240W) 対応のUSB Type-Cケーブルが必要です。
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Xiaomi
充電規格名 | ワット数 (目安) | 初採用モデル | 付属ACアダプターの定格出力 | 付属ACアダプターのコネクター形状 | ハンドシェイク | 独自ケーブル |
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Mi Turbo Charge 27W | 27W | 小米9 | 9V⎓3A | USB Standard-A (白色) | QC 3.0 Class B | 不要 |
Mi Turbo Charge 40W | 40W | 小米9 Pro 5G | 10V⎓4A | USB Standard-A (白色) | 独自方式 | 要 |
Mi Turbo Charge 30W | 30W | 小米CC9 Pro (Mi Note 10) | 10V⎓3A | USB Standard-A (白色) | 独自方式 | 要 |
Mi Turbo Charge 50W | 50W | 小米10 Pro | 11V⎓6A | USB Standard-A (白色) | 独自方式 | 要 |
Mi Turbo Charge 33W | 33W | 红米K30 Pro? | 11V⎓3A | USB Standard-A (白色→赤色) | 独自方式 | 要 |
120W HyperCharge | 120W | 小米10至尊纪念版 | 20V⎓6A | USB Standard-A (赤色) | 独自方式 | 要 |
Mi Turbo Charge 55W | 55W | 小米11 | 11V⎓5A | USB Standard-A (赤色) | 独自方式 | 要 |
Mi Turbo Charge 67W | 67W | 小米11 Pro/Ultra | 11V⎓6.1A | USB Standard-A (赤色) | 独自方式 | 要 |
神仙秒充 210W (Mi Turbo Charge 210W) | 210W | Redmi Note 12 探索版 | 20V⎓10.5A | USB Type-C | 独自方式 | 要 |
※上から順に、対応モデルが市場に投入された順番で記載しています。
Mi Turbo Charge 27W
XiaomiのスマートフォンはMi 8 / Mi MIX 3まではQualcomm Quick Charge 3.0対応の18W ACアダプターが付属していましたが、それ以降の一部モデルでは独自充電規格のACアダプターが付属するようになりました。まずは最初に登場したのが、Mi 9が対応しているMi Turbo Charge 27Wです。
独自充電規格と言ってもMi Turbo Charge 27Wの場合、ハンドシェイクに使用されているのはQC 3.0 Class Bの模様です。Mi 9は持っていないので代わりにMi Turbo Charge 33W対応のPOCO F3をQC 3.0 Class B対応サードパーティ製ACアダプターで充電してみましたが、確かに25W程度で充電されました。そのため、Mi Turbo Charge 27Wのハンドシェイクに使用されているのはQC 3.0 Class Bでほぼ確定と考えられます。 (温度管理やバッテリー充電のアルゴリズムといった充電規格の “中身” までQC 3.0なのかどうかは不明)
ハンドシェイクにQC 3.0 Class Bが使用されているということは、QC 3.0 Class Bに対応していればサードパーティのACアダプターでもMi Turbo Charge 27Wで充電可能ということになります。ケーブルも汎用品でOKです。
Mi Turbo Charge 40W / 30W / 50W / 33W / 120W / 55W / 67W / 210W
Mi Turbo Charge 27Wの後に出てきたのがMi Turbo Charge 40W / 30W / 50W / 33W / 120W / 55W / 67W / 210Wです。新しいモデルを出す度に新しい規格を作ったりACアダプターを新しくしていたらこんな状況になったようです。さすがXiaomi! 他のメーカーができない事を平然とやってのけるッ そこにシビれる! あこがれるゥ!
Mi Turbo Charge 27WではハンドシェイクにQC 3.0 Class Bを使用していましたが、Mi Turbo Charge 30W〜では独自方式を使用しています。そのため、純正ACアダプターが必須です。
Mi Turbo Charge 30W〜はUSB 2.0の仕様には存在しない第5のピンを使用してケーブルが純正品であるか確認したり、スマートフォンと通信を行ったりしています。そのため、ACアダプターだけでなくケーブルも純正品を使わなければMi Turbo Charge 30W〜は有効になりません。
また、純正ケーブル自体にも3A対応や6A対応など複数の種類がある模様です。そのため、たとえXiaomi純正ケーブルであっても他のモデルに付属してきたケーブルを使いまわしたりはせず、そのスマートフォンに付属してきたものをそのまま使うのが無難です。
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OPPO
充電規格名 | ワット数 (目安) | 初採用モデル | 付属ACアダプターの定格出力 | 付属ACアダプターのコネクター形状 | ハンドシェイク | 独自ケーブル |
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VOOC | 20W | Find 7/7a | 5V⎓4A | USB Standard-A (緑色) | 独自方式 | 要 |
SuperVOOC | 50W | Find X | 10V⎓5A | USB Standard-A (オレンジ色) | 独自方式 | 要 |
VOOC 3.0 | 20W | F11 / Reno | 5V⎓4A | USB Standard-A (緑色) | 独自方式 | 要 |
SuperVOOC 2.0 | 65W | Reno Ace | 10V⎓6.5A | USB Standard-A (オレンジ色) | 独自方式 | 要 |
VOOC 4.0 | 30W | K5 / Reno3 | 5V⎓6A | USB Standard-A (緑色) | 独自方式 | 要 |
33W SuperVOOC | 33W | F19? | 11V⎓3A | USB Standard-A (白色) | 独自方式? | 不要? |
80W 超级闪充 | 80W | Find X5 Pro | 11V⎓7.3A | USB Standard-A (白色) | 独自方式 | 要 |
100W 超级闪充 | 100W | Find X6 Pro | 11V⎓9.1A | USB Standard-A (白色) | 独自方式 | 要 |
※上から順に、対応モデルが市場に投入された順番で記載しています。
VOOC
VOOCはOPPOの独自充電規格で、基本的に5V⎓4Aで充電が行われます。OPPO Find 7/7aが初めて対応しました。
初期のVOOCはACアダプターとケーブルが一体型になっていたり、定格が5V⎓4Aではないものがあったりと、今のVOOCとは若干異なっていたようです。しかし、少なくともOPPOが日本に参入してきた頃にはケーブルは取り外せるようになっており、定格も5V⎓4Aで一定になっていたようなので、日本のユーザーは「VOOC = ケーブルが取り外せて5V⎓4AのOPPOの充電規格」という理解で問題ないでしょう。
VOOC系のACアダプター・ケーブルにはUSB 2.0の仕様には存在しない第5のピンが用意されており、このピンを使ってケーブルがVOOC対応かどうか確認が行ってから充電が行われます。そのため、ACアダプター・ケーブルの両方がVOOC対応のものを使う必要があります。
33W SuperVOOC
VOOC系の充電規格は基本的にケーブルも専用品を使わなければならないのは上に書いた通りですが、33W SuperVOOCに関してはそうではない可能性があります。
33W SuperVOOCに対応しているOPPO F19の公式ページを見てみると、 * All adapters require encrypted cables, except the 11V3A adapter. という注釈がついています。そのため、33W SuperVOOCだけは普通のケーブルでもOKかもしれません。
OnePlus
充電規格名 | ワット数 (目安) | 初採用モデル | 付属ACアダプターの定格出力 | 付属ACアダプターのコネクター形状 | ハンドシェイク | 独自ケーブル |
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Dash Charge | 20W | OnePlus 3 | 5V⎓4A | USB Standard-A (赤色) | 独自方式 | 要 |
Warp Charge 30 | 30W | OnePlus 6T McLaren Edition | 5V⎓6A | USB Standard-A (オレンジ色) | 独自方式 | 要 |
Warp Charge 30T | 30W | OnePlus 7T | 5V⎓6A | USB Standard-A (赤色) | 独自方式 | 要 |
Warp Charge 65 | 65W | OnePlus 8T | 10V⎓6.5A | USB Type-C (白色) | 独自方式 | 要 |
Warp Charge 65T | 65W | OnePlus 9 Pro | 10V⎓6.5A | USB Type-C (白色) | 独自方式 | 要 |
Warp Charge 30T Plus | 30W | OnePlus Nord CE 5G | 5V⎓6A | USB Standard-A (赤色) | 独自方式 | 要 |
※上から順に、対応モデルが市場に投入された順番で記載しています。
Dash Charge
OnePlus初の独自急速充電規格がDash Chargeです。
一応「独自」と言いましたが、実際にはOPPOのVOOCが名前を変えただけの規格です。OnePlus 3がアナウンスされた時にOPPO VOOCだとメディアに回答しています。
ちなみに「Dash Charge」という名称は権利上の問題があったらしく、OnePlus 6のローンチ前後で欧米ではただの「Fast Charging」に名称が変わっていたりします。
Warp Charge 30/30T/30T Plus
Dash Chargeの次に登場したOnePlusの充電規格がWarp Charge 30シリーズです。同じ30W充電ということで、技術的にはOPPO VOOC 4.0と同等と思われます。
Warp Charge 30系に限った話ではありませんが、 “T” 付きの充電規格はACアダプターには変更はなく、スマートフォン側のみに違いがあるようです。OnePlusの公式HPを見てみると、例えばWarp Charge 30T対応のOnePlus 7TにはWarp Charge 30対応のACアダプターが付属していると記載があり、同様にWarp Charge 30T Plus対応のOnePlus Nord CE 5GにもWarp Charge 30対応のACアダプターが付属してくると記載があります。そのため、充電規格自体は複数あるものの、あくまでスマートフォン側の改善に留まり、ACアダプターのバリエーションはWarp Charge 30の1種類のみのようです。
Warp Charge 65/65T
Warp Charge 30の後に登場したのがWarp Charge 65です。恐らく技術的にはOPPO SuperVOOC 2.0と同等と思われますが、Warp Charge 65はACアダプターのコネクター形状がUSB Type-Cとなっています。 (SuperVOOC 2.0のACアダプターはUSB Standard-A。ただし単品販売されているACアダプターの中にはUSB Type-Cのものもある)
OnePlus 10以降のOnePlusの急速充電規格
2021年にOnePlusがOPPOへ統合され、2022年モデルからは型番規則がOPPOと同じものになるなど、現在のOnePlusは名実ともにOPPOの1ブランドとなっています。それに伴い、急速充電規格に関してもOnePlus 10 Proでは80W SuperVOOC、OnePlus 10Tでは150W SuperVOOCへの対応が謳われているように、従来のWarp ChargeではなくVOOCがスペックとして謳われるようになりました。
従来のDash ChargeやWarp Chargeも技術的にはVOOC系と完全に同一、もしくはほぼ同一と考えられるため、実質的には単にブランディングが変わるだけですが、恐らく今後のOnePlusスマートフォンはWarp ChargeではなくVOOC系の充電規格への対応が謳われていくと考えられます。
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realme
充電規格名 | ワット数 (目安) | 初採用モデル | 付属ACアダプターの定格出力 | 付属ACアダプターのコネクター形状 | ハンドシェイク | 独自ケーブル |
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30W Dart | 30W | X50m | 5V⎓6A | USB Standard-A (黄色) | 独自方式 | 要 |
65W SuperDart | 65W | X50 Pro | 10V⎓6.5A | USB Standard-A (黄色) | 独自方式 | 要 |
50W SuperDart | 50W | V15? | 10V⎓6.5A | USB Standard-A (黄色) | 独自方式 | 要 |
33W Dart | 33W | 8s | 11V⎓3A | USB Standard-A (白色) | 独自方式? | 不要? |
150W 光速秒充 (150W UltraDart) | 150W | GT Neo3 | 20V⎓8A | USB Type-C (白色) | 独自方式 | 要 |
80W 超速闪充 | 80W | Q5 Pro | 11V⎓7.3A | USB Standard-A (白色) | 独自方式 | 要 |
100W 光速秒充 | 100W | GT2大师探索版 | 11V⎓9.1A | USB Standard-A (白色) | 独自方式 | 要 |
240W 满级秒充 | 240W | GT Neo5 (240W) | 20V⎓12A | USB Type-C (白色) | 独自方式 | 要 |
150W 光速秒充 | 150W | GT5 (150W) | 11V⎓13.7A | USB Type-C (白色) | 独自方式 | 要 |
realmeはOPPOの関連会社であるため、OnePlusと同様に、realmeの充電規格も基本的には「ただ名前が違うだけで中身はVOOC」という理解で問題ないはずです。
当初realmeは充電規格として「VOOC」をマーケティング・ブランディングで使用していましたが、やがてrealme独自の「Dart Charge」を呼称するようになっていました。しかし最近では「Dart Charge」のブランドを使用するのはやめ、また「VOOC」を名乗るようになっているため、OPPO・OnePlus・realme共通で「VOOC」で統一することにした模様です。GT Neo5等の付属ACアダプターにはハッキリと「SuperVOOC」とロゴが印刷されています。
vivo
充電規格名 | ワット数 (目安) | 初採用モデル | 付属ACアダプターの定格出力 | 付属ACアダプターのコネクター形状 | ハンドシェイク | 独自ケーブル |
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? | 22.5W | X9Plus | 5V⎓4.5A | USB Standard-A | 独自方式 | 要 |
FlashCharge | 22.5W | NEX S / NEX | 10V⎓2.25A | USB Standard-A | 独自方式 | 要? |
Super FlashCharge | 44W | iQOO | 11V⎓4A | USB Standard-A | 独自方式 | 要? |
FlashCharge 2.0 | 33W | iQOO Neo 855版 | 11V⎓3A | USB Standard-A | 独自方式 | 要? |
Super FlashCharge 2.0 | 55W | iQOO 3 | 11V⎓5A | USB Standard-A | 独自方式 | 要? |
120W Super FlashCharge | 120W | iQOO 5 Pro | 20V⎓6A | USB Standard-A | 独自方式 | 要 |
66W FlashCharge | 66W | iQOO Neo5 | 11V⎓6A | USB Standard-A | 独自方式 | 要? |
80W FlashCharge | 80W | X Fold / X Note | 20V⎓4A | USB Type-C | 独自方式 | 要? |
200W FlashCharge | 200W | iQOO 10 Pro | 20V⎓10A | USB Type-C | 独自方式 | 要 |
vivoの充電規格はちゃんと追いかけていないので詳しくは知りませんが、上記以外にも44Wや55WのFlashChargeに対応しているモデルがあるようです。44Wや55Wは元々「Super FlashCharge」としてブランディングされていましたが、ワット数がどんどん大きくなるにつれて「SuperなFlashCharge」と「SuperではないFlashCharge」の境界が曖昧になってきたため、ワット数 + FlashChargeという命名規則で統一することにしたのかもしれません。
Huawei / Honor
充電規格名 | ワット数 (目安) | 初採用モデル | 付属ACアダプターの定格出力 | 付属ACアダプターのコネクター形状 | ハンドシェイク | 独自ケーブル |
---|---|---|---|---|---|---|
Quick Charge | 18W | Mate 8? | 9V⎓2A | USB Standard-A | 独自方式 | 不要 |
SuperCharge (V1) | 22.5W | Mate 9 | 5V⎓4.5A / 4.5V⎓5A | USB Standard-A | 独自方式 | 要 |
MagicPower | 40W | 荣耀Magic | 5V⎓8A | USB Standard-A | 独自方式 | 要 |
40W SuperCharge | 40W | Mate 20 Pro | 10V⎓4A | USB Standard-A | 独自方式 | 要 |
SuperCharge (V2) | 22.5W | 荣耀X10? | 10V⎓2.25A | USB Standard-A | 独自方式 | 要? |
66W SuperCharge | 66W | Mate 40 Pro | 11V⎓6A | USB Standard-A | 独自方式 | 要 |
100W SuperCharge | 100W | 荣耀50 Pro? | 20V⎓5A | USB Standard-A | 独自方式 | 要 |
Quick Charge
Quick Chargeというと普通はQualcommの充電規格を指す場合が多いと思いますが、HuaweiもQuick Chargeを名乗っています。当然、両者は別物であり、規格的な互換性はありません。
ACアダプター等にはこういった風にQuick Chargeとロゴが入っている一方で、Huaweiのサポートページなどでは “Fast charge” 等と書かれている場合も多く、Quick Chargeが正式名称なのかいまいちハッキリしません。
省略する場合は “Fast Charge Protocol” の頭文字を取ったHuawei FCPと略します。
UFCS (融合快充)
近年、中国ではUFCSという充電規格が普及し始めています。
上で紹介したように、中国ではXiaomiやOPPO、vivoなど各社がバラバラに充電規格を開発しており、それぞれ互換性がない状態となっています。これが良いことではないと考える人は中国にもいるらしく、メーカーに関係なく使える共通の充電規格を目指して作られたのがUFCS (Universal Fast Charging Specification) です。
すでにUSB PDというオープンな規格があるにも関わらず、USB PDを使用するのではなく新しく別の規格を作ってしまうあたりが中国だなという印象ですが、中国メーカー各社の充電規格はUSB PDで流せる上限である5Aを余裕で超えてしまっているため、新しい規格を作ったのは仕方がないとも言えます。UFCSのハンドシェイクはCCではなくD+/D-で行われるため、USB Type-CだけでなくStandard-AやMicro-Bに実装することも可能です。 (その代わりUFCS充電中はデータ転送ができない)
UFCSが登場したことによって充電規格が統一されたかというと、今のところ統一には程遠い状況です。あくまでメインはそれぞれのメーカーの充電規格であり、一部のモデルがオマケ程度に33WのUFCSをサポートしているだけに留まっています。 (2023年12月時点)
メーカー間でのケーブルの互換性
中国メーカー各社の充電規格はUSB Standard-Aで5A超を流したりUSB Type-Cで10A超を流したりと、かなり無茶なことをしています。当然、その辺のケーブルにそのような大電流を流すわけにもいかないため、各メーカーはそれぞれ独自にケーブルの確認を行う仕組みを導入しています。
ケーブルの確認方法はメーカーごとに実装が異なっており、互換性はありません。Xiaomiの充電規格を使いたいのであればXiaomiのACアダプターとケーブルを、OPPOの充電規格を使いたいのであればOPPOのACアダプターとケーブルを使う必要があります。
唯一の例外がOPPO・OnePlus・realmeで、これらのメーカー・ブランドの充電規格は名前が違うだけで技術的には同等であるため、この3ブランド間であれば互換性があります。
とはいえ、同じメーカー・ブランドのケーブル同士であっても、例えば30W充電のスマートフォンに付属してきたケーブルと120W充電のスマートフォンに付属してきたケーブルは別物であるため、120WのACアダプターに30Wのケーブルを組み合わせた場合はケーブルがボトルネックになってしまいます。そのため、急速充電したい場合は基本的にスマートフォンに付属してきたACアダプター・ケーブルを使って充電することをお勧めします。
C to CケーブルはどのメーカーもeMarkerを使って確認を行っている (と思われる) ため、基本的に構造は普通のC to Cケーブルと変わりません。一方、A to CケーブルやA to Micro-Bケーブルは各メーカーそれぞれ魔改造されており、比べてみるとなかなか興味深いです。以下を読んでもらえれば、なぜケーブルの互換性がないのかが分かるかと思います。
Xiaomi
Xiaomiの独自ケーブルにはUSB 2.0に存在しない第5のピンが存在しています。ワイヤーが5本あり、USB Type-Cコネクター側まで伸びていることが分かります。この第5のピンはUSB Type-Cコネクター側のCCピンと接続しており、USB PDのパケットをしゃべるようになっています。 https://hanpenblog.com/16152
USB Type-Cコネクター側にはMiロゴが刻印されたチップが実装されています。おそらくこのチップでケーブルの判定を行っていると考えられます。 (詳細不明)
OPPO
左からOnePlus Dash Chargeケーブル (赤色) 、OPPO VOOCケーブル (緑色) 、Huawei SuperChargeケーブル (紫色) です。
OPPO VOOCケーブルにはXiaomi同様USB 2.0に存在しない第5のピンが存在していますが、Xiaomiと異なり、この第5のピンはUSB Standard-Aコネクターの基板上に実装されているチップへ接続しています (ワイヤーが5本あるが、VBUSが2本になっているだけで、USB Type-C/Micro-B側には繋がってはいない) 。第5のピンを介してACアダプターとチップが通信を行い、VOOCケーブルだと認証できた場合のみVOOC対応ACアダプターとして動作する仕組みのようです。
Huawei
紫色のものがHuaweiのケーブルですが、OPPOやXiaomiとは異なり、USB Standard-A側に第5のピンはありません。
HuaweiのケーブルはUSB Type-Cコネクターの2つのCCが両方56kΩでプルアップされており、これでSuperChargeケーブルかどうか判定を行っています。USB Standard-A側からはCC1・CC2がプルアップされているかどうか分からない = ACアダプターからはケーブルの判定をできないため、スマートフォン側でケーブルの判定を行っているということになります。
OPPOやXiaomiはICチップを使ってケーブルの認証を行っているのに対して、Huaweiのケーブルはただプルアップしているだけなので、簡単に模造品を作ることができます。また、CC1・CC2両方をプルアップするという実装はUSB Type-Cの仕様に違反しているため、Google Pixelを充電しようとしても弾かれて充電できません。
HuaweiのA to Cケーブルはこの紫色のものの他に、SuperCharge 66Wや100Wで使用されるオレンジ色の6Aケーブルもあります。しかしそれも紫色のケーブルと同様にUSB Type-C側に抵抗らしきものが2つ実装されているだけで、第5のピンやICチップはないようです。どうやって紫色のケーブルとオレンジ色のケーブルを識別しているのかは不明です。 (抵抗の値が違う?)