nubiaからゲーミングスマートフォン「RedMagic 5G」のサンプル機を貸し出してもらったのでレビューします。
スペック・ベンチマーク
RedMagic 5Gは、ZTEにルーツを持つスマートフォンメーカー「nubia」が放つ5G対応ゲーミングスマートフォンで、Snapdragon 865・12GB RAM・144Hzディスプレイ・冷却ファンといった特徴を持っています。
nubia RedMagic 5Gのスペックは以下の通りです。
機種名 | RedMagic 5 |
---|---|
OS | RedMagic OS 3.0 (Android 10) |
SoC | Snapdragon 865 |
RAM | 8GB / 12GB (LPDDR5) |
ストレージ | 128GB / 256 GB (UFS 3.0) |
ディスプレイ | 6.65インチ 有機EL 2340 x 1080 px リフレッシュレート 144Hz タッチサンプリングレート 240Hz |
対応バンド | GSM : 2/3/5/8 CDMA/EVDO : BC0/BC1 W-CDMA : 1/2/4/5/8/19 FDD-LTE : 1/2/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/26 TD-LTE : 34/38/39/40/41 5G NR : n41/n78 |
Wi-Fi | Wi-Fi 6 (IEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax) 2 x 2 MIMO |
Bluetooth | Bluetooth 5.1 |
バッテリー | 4500 mAh (55W充電対応) |
カメラ | インカメラ : 8MP アウトカメラ : 64MP(メイン)+8MP(超広角)+2MP(マクロ) |
サイズ | 高さ: 168.56mm 横幅: 78mm 厚さ: 9.75mm |
重量 | 218g |
本体カラー | Hot Rod Red (8GB/128GB) Eclipse Black (12GB/128GB) |
Snapdragon 865、8GB/12GB RAM、UFS 3.0ストレージということで、2020年のハイエンドスマートフォンとして申し分のないスペックとなっています。
Antutu、Geekbench 5、GFXBenchを回してみましたが、どれも最高レベルのスコアを叩き出していました。
ベンチマークのスコアで全てが決まるわけではありませんが、少なくとも処理能力は最高レベルであることが伺えます。
余談ですが、他のアプリはGame Spaceから起動しない限りファンは回らないのに、Antutuだけはどのような場合でも、何ならファンを回さない設定にしていてもファンが強制的に回ったのには笑いました。ベンチマーク時はCPU/GPUをフルスピードでブン回すようにチートチューニングしているメーカーは多いですが、ここまで露骨なのは初めてですね。
借用したモデルと同梱物
今回nubiaより借用したモデルは、本体カラー「Eclipse」の12GB/256GBモデルです。
パッケージの中には
- RedMagic 5G本体
- 画面保護フィルム (本体貼り付け済み)
- ケーブル (USB 2.0 Std-A to Type-C)
- ACアダプター (18W / Quick Charge 3.0対応)
- マニュアル
- SIMトレー取り出し用ピン
が同梱されていました。
最近のスマートフォン、特に中国メーカーのものはケースが付属する場合が多いですが、RedMagic 5Gにケースは付属してきません。国内ではケースなどのアクセサリ類は入手性が低いため注意する必要があります。
また、本体カラー「Eclipse」はRedMagic日本語サイトで販売されていないため、恐らく今回借用した個体は日本向けに「RedMagic 5」として販売されているものではなく、グローバル市場のいずれかで「RedMagic 5G」として販売されている個体と思われます (ACアダプターの形状的に恐らく北米向け) 。販売上の名前が違うだけで本体の仕様はRAM・ストレージ容量以外同じはずですが、一応その点を踏まえてお読みください。
ハードウェア
ZTE系列のnubiaなだけあって、RedMagic 5G本体の質感や剛性などは良いです。安っぽさは感じません。
やはり目を引くのは背面のツートーンデザインです。人によって好みが分かれるデザインだとは思いますが、例えばNintendo Switchも派手なツートーンであることを考えると、同じ「ゲーム関連製品」としてはこういったデザインもアリではないでしょうか。
ハードウェア的な部分で気になった点は3つです。1つ目は重量で、普通にスマートフォンとして片手で使っているときはもちろん、横向きで両手持ちしている際も重さを感じます。スマートフォンとしてはかなり重いです。200g超えは伊達ではありません。
2つ目は滑りやすさです。背面の素材がガラスであり、なおかつラウンドしていて平らな部分がまったくないため、何かの上に置いておくとほぼ間違いなく滑り落ちます。Qi (ワイヤレス充電) に対応していませんし、重量的な意味でも背面はガラスではなくポリカーボネートなどでも良かったかなという気がします。
3つ目はバイブレーションです。振動がめっちゃ安っぽいです。
ディスプレイ
RedMagic 5G最大のセールスポイントである144Hzディスプレイですが……表示がヌルヌルすぎて気持ち悪いです (褒めてる) 。RedMagic 5Gを使う前は90HzディスプレイのOnePlus 7Tというスマートフォン使っていたので正直「どうせ90Hzと大して変わらんやろ」と期待していなかったのですが、予想以上のヌルヌルさでした。RedMagic 5Gを使った後ではOnePlus 7Tですらコマ落ちしているように感じます。
また、RedMagic 5Gのディスプレイは両サイドが湾曲していたり、ノッチ・パンチホールで欠けていたりはしません。イヤホンジャックもあるので、映画などを見るのにも最適です……と言いたいところですが、Widevine DRMがLevel 3なのでNetflixやAmazonプライム・ビデオなどはSD画質となります。 (もったいない……)
イヤホンジャック・スピーカー
RedMagic 5Gには、今となっては珍しいイヤホンジャックが搭載されています。特段「音がいい」とかそういったことはありませんが、ワイヤレスイヤホンはどうしても遅延があるため、変換アダプターを使用せずともイヤホンを接続できるのはゲームをする上でもメリットとなります。
また、RedMagic 5Gのスピーカーは本体上部と底面のスピーカーを使ったステレオ仕様となっています。スマートフォンとしてはなかなか迫力のあるサウンドが再生され、音量も十分であるため、実用性は高いです。
1つ難点を挙げるとすれば、スピーカーの左右が画面の向きに応じて入れ替わらなかったことです。横持ち用のLRトリガーボタンが用意されていて画面の向きが実質的に固定されている以上、通常のスマートフォンと比べてそこまでデメリットではありませんが、できれば入れ替わるようになっていてほしかったですね。
バッテリー持ち
144Hzに設定した状態でネットサーフィンしたりSNSしたりゲームしたりといつも通りに使ってみたところ、100% -> 0%の使用時間は5時間ちょっとでした。ゲームを多くプレイするのであれば、CPU/GPUがブン回る分もっと短くなると思います。
これを長いと考えるか短いと考えるかは難しいところです。144Hzであることを考えれば「こんなもんか」という気もしますし、かといって4500mAhという容量を考えるともうちょっと長くても良い気もします。
幸いなことにRedMagic 5Gは55W超急速充電を使うと50分で100%まで充電することができるため、それである程度カバーすることが可能です。
ただ、55W充電でカバーできるのはコンセントを確保できる場合のみなので、お出かけの際はモバイルバッテリーも持ち歩いたほうが良いでしょう。
Game Spaceを使ってみた
本体左上にあるボタンをスライドさせると起動する「Game Space」はゲームをプレイする上でかなり便利です。ボタンをスライドさせるだけでGame Spaceが起動し、後はゲームを選択するだけでプレイすることができます。
Game Space起動中は誤操作の原因となるオンスクリーンナビゲーションバーが無効化され、代わりに右端からスワイプすると表示されるようになるコンソールから、リフレッシュレートや冷却ファン、画面の録画などの設定を変更することができます。ゲーミングスマートフォンを名乗るだけのことはあり、Game Spaceに関してはよく作り込まれていると感じました。
Game Space唯一の難点はスクリーンショットです。画像の通り、「REDMAGIC 5G GAMING PHONE」というロゴが左下に埋め込まれます。 (設定からオフにすることはできる)
Game Space以外のRedMagic OS
前述の通り、Game Spaceは良くできています。ゲームをするには便利でした。
また、ゲームにしろWEBブラウジングにしろSNSにしろ、引っかかりやラグがなかったのも良かったです。「スペックは高いんだけどなんか引っかかる」というような機種がたまにあったりしますが、RedMagic 5Gでそういうことがなかったのは良かったです。144Hzディスプレイのスムーズさを存分に体験することができます。
ただ、上で上げた2点を除くと、正直RedMagic OSの完成度はお世辞にも高いとは言えません。私が気づいただけでも以下のような問題がありました。
- システム上で日本語訳が用意されているのは恐らくAOSPで日本語が存在している部分のみ
- USBデバッグがデフォルトで有効になっており、無効にしても再起動するとまた有効になる
- 12GBのRAMのほとんどをAndroid OSが使用しているかのようにシステム上表示される
- アプリが落ちたりはしなかったが、デレステやシャニマスがたまにフリーズした
- Widevine DRM L3のため、NetflixやAmazon PrimeビデオがSD画質に制限される
日本語訳がないのはしょうがないとして、USBデバッグがデフォルトで有効になっているのは正気とは思えません。私が使っているはベータ版のソフトウェアだったのでしょうか。
また、バグではないですが以下のような仕様がRedMagic 5Gを使う上でかなり不便でした。
- ホーム画面 (ランチャーアプリ) を変更できない
- ランチャーアプリが横向きにするとレイアウトが崩壊する
- 通知が→方向のスワイプでしか消せない。←では無理
- アプリ履歴ボタンをダブルタップしても1つ前のアプリに戻らず、同じアプリが再表示される
- ジェスチャー操作時の→スワイプで1つ前のアプリを切り替えるジェスチャーが無効化されている
- Android 10で追加された、画面の向きを変えるとナビゲーションバーに表示される「一時的に表示の向きを変えるボタン」が出てこない (無効化されている)
- 音量を調整する際に、1段階で変わる音量の差が大きすぎてイヤホン使用時に適切なボリュームに設定できない
- USBドライブを接続すると勝手に大量のフォルダを作成する
このように、標準的なAndroid (AOSP) のUI・操作体系から色々といじられているので、PixelやXperia、Galaxyなどに慣れている人が使うとかなり使いづらく感じると思います。
ワイモバイルでVoLTE通話可能
ワイモバイルでしか確認できていませんが、VoLTE通話が可能でした。
カメラ
※写真左下のRedMagicマークはデフォルトでオンですが、カメラアプリの設定からオフにできます。
あまり枚数はありませんが、一応カメラも試してみました。シャープさがやや欠けていたり、草木が実物よりも色が強めに写っていたりはしますが、思っていたよりは良かったです。
超広角カメラもシャープさが足りなかったりと、粗探しをすればいくらでも出てきますが、ナイトモードはそれなりに撮れていますし、トータルでは悪くないカメラだと思います。
ちなみにシャッター音は日本のSIMカードを挿していてもオフにできます。スクショ音も鳴りません。
指紋センサー・顔認証
RedMagic 5Gは指紋認証にディスプレイ埋め込み型指紋センサー (In-display fingerprint sensor) を採用しており、画面に触れることでロックを解除することができます。
ただ、センサーの位置が下すぎること、そして精度がイマイチなことが原因で、正直あまり使っていて快適ではありませんでした。同じ指の複数登録は弾くようになっているため「1つの指を複数登録する」という裏技も使えず、失敗する時は2度3度と失敗してしまい、結局パスワードを入力することも少なくありませんでした。
顔認証の方は精度も速度もそこまで悪くはありませんでしたが、このご時世マスクをすることが多いため、指紋認証の代用として使えなかったのがつらかったです。
まとめ : 144Hzのスムーズさは本当にすばらしいが……
RedMagic 5G最大の特徴である144Hzディスプレイのスムーズさはすばらしいです。バッテリー持ちを犠牲にしてでも144Hzに設定したくなる魅力があります。
その一方で、RedMagic OSの完成度の低さやUI・操作体系は使っていて正直つらかったです。ゲームをするだけであればともかく、普通にスマートフォンとして使っているとアプリ履歴ボタンのダブルタップでアプリが切り替えられないことや、通知を消す際のスワイプの方向が限定されていることがかなり煩わしかったです。
そのため、「1台で何でも済まそう」と考えている人にこのRedMagic 5Gはオススメしません。iPhoneやGalaxyなど「オールラウンダーなメインのスマホ」が既にあり、それに加えて「ゲーム用に1台足したい」という人であれば買っても良いかもしれません。
RedMagic 5G (RedMagic 5) は日本語公式サイトより629ドルで購入することができます。
このレビューについて
このレビュー記事は、nubiaから貸与されたRedMagic 5Gを約10日間メイン端末として使用した上で作成しています。レビュー記事の作成に対して報酬が支払われたり、公開前の事前チェックなどは行われていません。