AnkerのUSB PD 45W充電器「PowerPort III 45W Pod」 (型番: A2711121) を購入したのでレビューします。
これは何?
USB充電器やケーブルなどを多数リリースしている周辺機器メーカー「Anker」が2021年2月に発売した、USB PD 45W対応のACアダプターです。
USB PD PPSに対応しているため、「Quick Charge 4 / Quick Charge 4+」に対応しているスマートフォンや、「Super Fast Charging」に対応しているGalaxy S20・S21・Note10・Note20シリーズを超急速充電することが可能です。
また、スイッチング素子に従来のSi (シリコン) ICではなくGaN (窒化ガリウム) ICを使用しており、45W出力の割に小型であることも売りの1つとなっています。
開封・付属品
付属してくるのは説明書のみなので、ケーブルを持っていない場合は別途用意する必要があります。
PowerPort III 45W Pod
Model/品番: A2711
Input/入力: 100-240V~ 1.87A 50-60Hz
Output/出力: 5.0V⎓3.0A 15.0W / 9.0V⎓3.0A 27.0W / 15.0V⎓3.0A 45.0W / 20.0V⎓2.25A 45.0W
PPS 3.3V-16.0V⎓3.0A Max, 3.3V-21.0V⎓2.25A Max (45.0W Max)
Anker Innovations Limited
Made in China
ひし形PSEマーク / TÜV SÜD PSB Pte Ltd / アンカー・ジャパン株式会社
重量
Anker PowerPort III 45W Podの重量は実測88gでした。
手で持ってみても重いという感じはしません。持ち運びはしやすい重量です。
大きさを比較
Apple純正の18W USB-C電源アダプタと大きさを比較してみました。
18W vs 45Wということで出力は2倍以上ですが、プラグ部まで含めた大きさはほぼ同一となっています。コンパクトです。
対応している急速充電規格を確認
AVHzY CT-3を使って、PowerPort III 45W Podが対応している急速充電規格とSource_CapabilitiesメッセージのPDOを確認します。
まず急速充電規格ですが、
- USB BC DCP
- USB PD
- Apple 2.4A
- Quick Charge 2.0/3.0
に対応しています。
Apple 2.4AやQC 2.0/3.0に対応しているので厳密にはUSB Type-Cの仕様に違反していますが、CCに印加される電圧はUSB Type-Cの仕様の範囲内なので、実用上で何か問題となる可能性は低いでしょう。 (後述のNextbit Robinの充電を参照)
USB PDの出力は以下の6系統に対応しています。
- 5.0V⎓3.0A (Fixed)
- 9.0V⎓3.0A (Fixed)
- 15.0V⎓3.0A (Fixed)
- 20.0V⎓2.25A (Fixed)
- 3.3V-16.0V⎓3.0A (PPS)
- 3.3V-21.0V⎓2.25A (PPS)
Anker PowerPort III 45W Podは3A以上を出力することはないため、5Aケーブルを使ってもUSB PDの出力に変化はありません。
PDO 5の理論上の最大出力は16.0V x 3.0A = 48.0W、PDO 6の出力は21.0A x 2.25A = 47.25Wなので、定格出力である45Wを超えています。一見すると問題があるように思えますが、実際は問題ありません。
PPSのPDO (APDO) の28ビット目 (B27) には「PPS Power Limit」という項目が割り当てられており、このビットが有効になっている場合、供給される電流はPD Power (今回の場合は45W) を超えないように制限されます。
PDO 5とPDO 6を両方調べましたが、どちらもPPS Power Limitのフラグが立っていました。そのため、数字上はPDO 5とPDO 6がどちらも45Wを超えていますが、問題はありません。
いろいろ充電してみた
Galaxy S20 FE
Super Fast Charging対応のGalaxy S20 FEを充電したところ、PPS 3.3V-16.0V⎓3.0AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約26Wが供給されていました。
Redmi K20 Pro
Quick Charge 4+対応のRedmi K20 Proを充電したところ、PPS 3.3V-16.0V⎓3.0AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約21Wが供給されていました。
iPad Pro 11 (2018)
iPad Pro 11 (2018) を充電したところ、Fixed 15.0V⎓3.0AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約26Wが供給されていました。
ThinkPad Yoga 370
ThinkPad Yoga 370を充電したところ、Fixed 20.0V⎓2.25AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約42Wが供給されていました。
Nextbit Robin
Quick Charge 2.0対応・USB PD非対応のNextbit Robinを充電したところ、Quick Charge 2.0が有効になり、約14Wが供給されていました。
iPad Air 2
Apple 2.4A対応・USB PD非対応のiPad Air 2を充電したところ、Apple 2.4Aが有効になり、約13Wが供給されていました。
Nintendo Switch (2019)
Nintendo Switch (2019) を充電したところ、Fixed 15.0V⎓3.0AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約14Wが供給されていました。
純正ドックを使った場合はTVモードも動作しました。
過電流保護機能のテスト
Anker PowerPort III 45W Podには過電流保護機能が実装されており、5V・9V・15V時は約4A、20V時は約3Aを超えると出力が自動でシャットダウンされます。
まとめ:安パイな45W ACアダプター
これを選んでおけば大きく失敗することはない、オールラウンダーなACアダプターだと思います。
USB PD PPSに対応しているためGalaxy S20・S21・Note10・Note20シリーズやQuick Charge 4/4+対応スマートフォンを超急速充電でき、Quick Charge 2.0/3.0にも対応しているため、Nextbit RobinやXperia XZなどの「USB Type-CだけどUSB PDには対応していないスマホ」も急速充電することができます。
最大45W出力なのでiPad等のタブレットだけでなくモバイルノートPCの充電にも使えたりと、様々なデバイスを充電することができます。dGPUを搭載しているようなハイパワーなノートPC以外は大体このAnker PowerPort III 45Wでカバーできるでしょう。
持ち運びもしやすいサイズ・重量ですし、値段も手頃で、積極的にオススメできるUSB PD ACアダプターだと思います。
オマケ:65W Podとの比較
今回レビューしたAnker PowerPort III 45W Podには65W出力の兄弟モデルがあるので簡単に比較してみます。
写真の通り、65W Podと比べて45W Podの方が一回り小さいです。重量は65Wが120g、45Wが88gです。
スペック的には最大65W・45Wという違いを除くとほぼ同等で、対応している急速充電規格も同じです。65W Podの方が出力が大きい分、よりノートPC向けと言えるでしょう。
65Wはハイパワーな反面、若干重いため、持ち運ぶことが多い場合は軽量な45W Podを、あまり持ち歩かないのであれば65W Podを選ぶと良いのではないかと思います。