ELECJET (电友) というブランドの65W ACアダプター「X21」を購入したのでレビューします。
これは何?
ELECJET (电友) というブランドが販売している、USB Type-Cポートが2つ、USB Standard-Aポートが1つあるタイプの65W ACアダプターです。窒化ガリウム (GaN) 素子を採用しており、3ポートACアダプターとしては小型・軽量となっているのが特徴です。
こういったタイプのACアダプターというと、↓↓のBaseusのACアダプターを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
今回レビューしているELECJET X21とBaseus 65Wは外見的には似ていますが、いくつかのスペックが異なっています。どちらも3ポートで最大65W出力という基本性能は同じですが、
- USB Type-CポートがPPS 5Aに対応している (Baseusは3.25A)
- USB Standard-AポートがOPPO VOOC・OnePlus Dash Chargeに対応している (Baseusは多分非対応のはず)
という点が異なっています。
PPS 5Aに対応していると何が嬉しいかと言うと、Galaxy Note10+やS20 UltraをSuper Fast Charging 2.0で45W超急速充電したり、RedMagic 5Gを55W超急速充電することが可能となります。 (ホントはRedMagic 5Gの55W充電の検証用に注文したんですが、思った以上に配送に時間が掛かったためELECJET X21が届く前にRedMagic 5Gの返却期限が来てしまい、RedMagic 5Gの実機で試すことはできず……)
また、USB Standard-AポートがOPPOの急速充電「VOOC」 (OnePlusで言うところのDash Charge) に対応しているというのもポイントです。OPPO VOOCはサードパーティACアダプターのほとんどが対応しておらず、利用するためには基本的に純正充電器が必要です。しかしながらELECJET X21はサードパーティ製品としては珍しくVOOCに対応しているため、ACアダプターを1つにまとめることが可能となります。
開封・付属品
海外からのお届け物なのでパッケージがボッコボコなのはご愛嬌です。
パッケージに入っているのはX21本体と説明書のみで、ケーブルは付属しません。
パッケージ裏面や説明書によると、複数ポート使用時の電力の割当は以下のようになるようです。
使用するポート | USB-C1出力 | USB-C2出力 | USB-A出力 |
---|---|---|---|
USB-C1のみ | 65W | – | – |
USB-C2のみ | – | 65W | – |
USB-Aのみ | – | – | 60W |
USB-C1 + USB-C2 | 45W | 18W | – |
USB-C1 + USB-A | 45W | – | 18W |
USB-C2 + USB-A | – | 合計5V 4.8A | |
3つ全て | 45W | 合計5V 3.0A |
ELECJET电友 氮化镓快充充电器
型号: X21
输入: 100-240V 50/60Hz 1.5A
输出: USB-C1: 3.3-11V 5A (PPS) / 5V 3A / 9V 3A / 12V 3A / 15V 3A / 20V 3.25A (65W Max)
输出: USB-C2: 3.3-11V 5A (PPS) / 5V 3A / 9V 3A / 12V 3A / 15V 3A / 20V 3.25A (65W Max)
输出: USB-A: 4.5V 5A / 5V 4.5A / 9V 3A / 12V 3A / 20V 3A (60W Max)
输出: USBC1 + USB-C2: 45W + 18W (63W Max)
输出: USBC1 + USB-A: 45W + 18W (63W Max)
输出: USBC2 + USB-A: 5V 4.8A (24W Max)
输出: USBC1 + USB-C2 + USB-A: 45W + 15W (60W Max)
监制: 电友电子 (深圳) 有限公司
制造商: 深圳市雅晶源科技有限公司
重量
ELECJET X21の重量は130gでした。
同じ65W出力・GaN素子採用のXiaomi AD65Gは84gでしたが、ELECJET X21は3ポートになっているせいか結構重めです。手で持ってみてもズッシリ感があります。
大きさを比較
同じ65W出力同士のACアダプターで大きさを比較してみます。
ELECJET X21 | 37 x 32 x 72 mm (高さ x 横幅 x 奥行) |
---|---|
Anker PowerPort III 65W Pod | 45 x 30 x 68 mm (高さ x 横幅 x 奥行) |
一見ELECJET X21のほうが小さそうに見えますが、Anker PowerPort III 65W Podのほうが奥行きが短いので、体積的には同じぐらいです。
ELECJET X21 | 37 x 32 x 72 mm (高さ x 横幅 x 奥行) |
---|---|
Xiaomi AD65G | 31 x 31 x 72 mm (高さ x 横幅 x 奥行、コンセント含む) |
コンセントプラグが折り畳めないとはいえ、Xiaomi AD65Gのほうが小さいです。やっぱり複数ポートのモデルはどうしても大きめになりがちですね。
急速充電規格とUSB PDを確認
AVHzY CT-2 (Kotomi Premium) を使って、ELECJET X21が対応している急速充電規格とSource_Capabilitiesメッセージを確認してみます。
USB-C1単独
USB-C1ポートは
- USB PD 65W
- USB PD PPS 3.3〜11.0V 5A
- USB BC DCP
- Apple 2.4A
- Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class B)
- Samsung Adaptive Fast Charging
- HUAWEI QuickCharge
- HUAWEI SuperCharge 22.5W (対応ケーブル必須)
に対応しています。
USB Type-C製品にUSB以外の充電規格を実装することはUSB Type-Cの仕様で禁止されていますが、ELECJET X21は非常に多くの充電規格に対応しています。ここまで開き直られるといっそ清々しいです。
USB PDは65W Sourceとして必須となる5V 3A, 9V, 3A, 15V 3A, 20V 3.25Aの他に12V 3AとPPS 3.3〜11.0V 5Aにも対応しており、12Vを要求するGPD Pocketなどの中華UMPCも充電することが可能となっています。
なおUSB PDの仕様上、3Aより大きい電流を流す場合は「5Aケーブルかどうか」というチェックが入るため、3Aケーブルを使用した場合はFixed 20VとPPSがそれぞれ最大3Aに制限されます。そのため、20V 3.25AやPPS 3.3〜11.0V 5Aを利用するためには5A対応ケーブルを使用する必要があります。
(5Aケーブルを使用した場合は後述のSplit PDOの挙動があるため、敢えて3Aケーブルを使用するというのも1つの選択肢だと思います)
USB-C2単独
USB-C2単独のスペックはUSB-C1単独と同じです。
USB Type-Cポートを複数備えるACアダプターの中には「C1は最大65WだけどC2は最大18W」といったものもありますが、ELECJET X21はC1もC2も同じスペックなので難しいことを考えずに使うことができます。
USB-A単独
USB Standard-Aポート単独使用時は
- USB BC DCP
- Apple 2.4A
- Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class B)
- Samsung Adaptive Fast Charging
- HUAWEI QuickCharge
- HUAWEI SuperCharge 22.5W (対応ケーブル必須)
- OPPO VOOC・OnePlus Dash Charge (対応ケーブル必須)
に対応しています。AVHzY CT-2の自動検出機能では検出されていませんが、実際にはOPPO VOOC・OnePlus Dash Chargeにも対応しています。
なお、OPPO VOOC・OnePlus Fast Chargeを利用するには対応ケーブルを使用する必要があります。
USB-C1 + USB-C2
USB-C1とUSB-C2を同時使用した場合、USB-C1は
- USB PD 45W
- USB PD PPS 3.3〜11.0V 5A
- USB BC DCP
- Apple 2.4A
- Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class B)
- Samsung Adaptive Fast Charging
- HUAWEI QuickCharge
- HUAWEI SuperCharge 22.5W (対応ケーブル必須)
に対応します。
USB-C2の方は
- USB PD 18W
- USB PD PPS 3.3〜5.9V 3A
- USB BC DCP
- Apple 2.4A
- Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class A)
- Samsung Adaptive Fast Charging
- HUAWEI QuickCharge
に対応します。
USB-C1 + USB-A
USB-C1とUSB Standard-Aを同時使用した場合、USB-C1は
- USB PD 45W
- USB PD PPS 3.3〜11.0V 5A
- USB BC DCP
- Apple 2.4A
- Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class B)
- Samsung Adaptive Fast Charging
- HUAWEI QuickCharge
- HUAWEI SuperCharge 22.5W (対応ケーブル必須)
に対応します。
USB Standard-Aの方は
- USB BC DCP
- Apple 2.4A
- Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class A)
- Samsung Adaptive Fast Charging
- HUAWEI QuickCharge
に対応します。
USB-C2 + USB-A
USB-C2とUSB Standard-Aを同時使用した場合、USB-C2は
- USB BC DCP
- Apple 2.4A
に対応します。USB PDには対応しなくなります。
USB Standard-Aポートも同様にUSB BC DCPとApple 2.4Aに対応します。
USB-C1 + USB-C2 + USB-A
USB-C1、USB-C2、USB Standard-Aを同時使用した場合、USB-C1は
- USB PD 45W
- USB PD PPS 3.3〜11.0V 5A
- USB BC DCP
- Apple 2.4A
- Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class B)
- Samsung Adaptive Fast Charging
- HUAWEI QuickCharge
- HUAWEI SuperCharge 22.5W (対応ケーブル必須)
に対応します。
USB-C2とUSB Standard-AはどちらもUSB BC DCPとApple 2.4Aに対応します。
出力・対応している充電規格まとめ
使用するポート | USB-C1出力 | USB-C2出力 | USB-A出力 |
---|---|---|---|
USB-C1のみ | 最大65W USB PD 65W USB PD PPS 3.3〜11.0V 5A USB BC DCP Apple 2.4A Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class B) Samsung Adaptive Fast Charging HUAWEI QuickCharge HUAWEI SuperCharge 22.5W (対応ケーブル必須) | – | – |
USB-C2のみ | – | 最大65W USB PD 65W USB PD PPS 3.3〜11.0V 5A USB BC DCP Apple 2.4A Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class B) Samsung Adaptive Fast Charging HUAWEI QuickCharge HUAWEI SuperCharge 22.5W (対応ケーブル必須) | – |
USB-Aのみ | – | – | 最大60W USB BC DCP Apple 2.4A Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class B) Samsung Adaptive Fast Charging HUAWEI QuickCharge HUAWEI SuperCharge 22.5W (対応ケーブル必須) OPPO VOOC (対応ケーブル必須) |
USB-C1 + USB-C2 | 最大45W USB PD 45W USB PD PPS 3.3〜11.0V 5A USB BC DCP Apple 2.4A Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class B) Samsung Adaptive Fast Charging HUAWEI QuickCharge HUAWEI SuperCharge 22.5W (対応ケーブル必須) | 最大18W USB PD 18W USB PD PPS 3.3〜5.9V 3A USB BC DCP Apple 2.4A Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class A) Samsung Adaptive Fast Charging HUAWEI QuickCharge | – |
USB-C1 + USB-A | 最大45W USB PD 45W USB PD PPS 3.3〜11.0V 5A USB BC DCP Apple 2.4A Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class B) Samsung Adaptive Fast Charging HUAWEI QuickCharge HUAWEI SuperCharge 22.5W (対応ケーブル必須) | – | 最大18W USB BC DCP Apple 2.4A Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class A) Samsung Adaptive Fast Charging HUAWEI QuickCharge |
USB-C2 + USB-A | – | 合計5V 4.8A USB BC DCP Apple 2.4A | |
3つ全て | 最大45W USB PD 45W USB PD PPS 3.3〜11.0V 5A USB BC DCP Apple 2.4A Qualcomm Quick Charge 2.0 / 3.0 (Class B) Samsung Adaptive Fast Charging HUAWEI QuickCharge HUAWEI SuperCharge 22.5W (対応ケーブル必須) | 合計5V 3.0A USB BC DCP Apple 2.4A |
これ以外にPump Expressにも対応していそうな気がしますが、PEを検出できるツールやMediaTekのSoCを採用しているスマートフォンを持っていないので不明です。
色々充電してみた (USB Type-C単独)
※ C1使用時の写真しか載せていませんが、C2単独使用時も同様です。
ThinkPad Yoga 370
ThinkPad Yoga 370をApple USB-C充電ケーブル [A1739] で充電したところ、20V 3.25AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約60Wが供給されていました。
iPad Pro 11 (2018)
iPad Pro 11 (2018) をApple USB-C充電ケーブル [A1739] で充電したところ、15V 3AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約26Wが供給されていました。
iPad Air 2
USB PD非対応・Apple 2.4A対応のiPad Air 2をApple USB-C to Lightningケーブル [A1656] を使って充電したところ、Apple 2.4Aで充電され、約13Wが供給されていました。
OnePlus 7T
OnePlus 7Tを5A対応のApple USB-C充電ケーブル [A1739] で充電したところ、5V 3AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約16Wが供給されていました。
Redmi K20 Pro
Quick Charge 4+対応のRedmi K20 ProをApple USB-C充電ケーブル [A1739] で充電したところ、PPS 3.3〜11.0V 5AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約27Wが供給されていました。
Nextbit Robin
USB PD非対応・Quick Charge 2.0対応のNextbit Robinを充電したところ、Quick Charge 2.0が有効になり、約14Wが供給されていました。
Nintendo Switch (2019)
Nintendo Switch (2019) をApple USB-C充電ケーブル [A1739] で充電したところ、15V 3AでUSB PDのネゴシエーションが行われ、約14Wが供給されていました。
色々充電してみた (USB Standard-A単独)
iPad Air 2
Apple 2.4A対応のiPad Air 2をiPad付属のLightningケーブルで充電したところ、約10Wが供給されていました。
本来であれば2.4Aが供給されるはずですが、なぜか約2.1A止まりでした。恐らくですが↓↓と同じ事象と思われます。
Nextbit Robin
Quick Charge 2.0対応のNextbit Robinを充電したところ、Quick Charge 2.0が有効になり、約14Wが供給されていました。
Redmi K20 Pro
Quick Charge 4+対応のRedmi K20 Proを充電したところ、Quick Charge 3.0が有効になり、約15Wが供給されていました。
OnePlus 7T
Warp Charge 30T対応のOnePlus 7TをWarp Charge非対応のケーブルで充電したところ、約9Wが供給されていました。
ケーブルをOnePlus 7T付属品に変えて充電したところ、OPPO VOOC・OnePlus Dash Chargeが有効になり、約17Wが供給されていました。
Nintendo Switch (2019)
Nintendo Switch (2019) を充電したところ、約2.5Wが供給されていました。
色々充電してみた (複数ポート同時使用)
USB-C1 + USB-C2
USB-C1とUSB-C2を同時使用した場合、C1に接続したThinkPadからは45W USB-C電源と認識され、C2に接続したRedmi K20 Proには約12Wが供給されていました。
USB-C1 + USB-A
USB-C1とUSB Standard-Aを同時使用した場合、ThinkPadからは45W USB-C電源と認識され、USB Standard-Aに接続したNextbit RobinにはQuick Charg 2.0で約14Wが供給されていました。
USB-C1 + USB-C2 + USB-A
USB-C1、USB-C2、USB Standard-Aを全て同時使用した場合、USB-C1に接続したThinkPadからは45W USB-C電源と認識され、USB-C2に接続したRedmi K20 Proには約8Wが、USB Standard-Aに接続したNextbit Robinには9Wが供給されていました。
過電流保護
ELECJET X21には過電流保護回路が実装されており、5V・9V・12V・15V・20Vの各電圧で約3.7Aを超えると出力がシャットダウンされました。 (本当はPPS 5Aでテストしたいところですが、現状ではACアダプターとUSB PDデコイの間にうまいこと5Aケーブルを挟む方法がないため、全て3Aでネゴシエーションした状態でのテスト結果となります)
気になるのがシャットダウン後すぐに出力が再開している点です。徐々に負荷を高くすると、保護回路が作動してシャットダウンする → 出力が再開される → 過電流でシャットダウンする……というのを繰り返しています。Anker PowerPort III 65W Podなどは1度過電流でシャットダウンするとデバイスを再接続するまでVBUSが0Vのままですが、保護回路としてはそっちのほうが良い気がします。
その他、気になった点
複数ポート使用時にどれか1つのポートを挿抜すると全ポートでリセットが掛かる
ELECJET X21はどれか1つのポートでデバイスを接続・取り外しをすると、他のポートの出力も一瞬ストップします。例えばUSB-C1でノートPCを充電している最中にUSB Standard-Aにスマートフォンを接続した場合、USB-C1の出力が一瞬ストップします。
ノートPC単体を充電している場合であればPCにバッテリーが搭載されているためそこまで影響はありませんが、ノートPCとACアダプターの間にハブを挟んでいるような場合では電源供給がストップするせいでハブの電源が一瞬落ち、外部モニターやUSBストレージへの接続が切断される場合があったりします。
なぜ出力が一瞬ストップするかというと、1ポート単独で使っている場合と複数ポートを同時使用している場合でそれぞれのUSBポートの出力が変わるからです。ELECJET X21に限らず、複数ポートで出力をシェアしているタイプのACアダプターはどれも同じような仕様ですが、「今はUSB-Aを使っているから45W出力だな」みたいなことを考えなければならないのはめんどくさいので個人的には好きではないです。
ちなみに、ELECJET X21はE-Markedケーブルを接続しただけではデバイスが接続された判定はされません (他ポートの出力は制限されません) 。複数ポートで出力をシェアしているタイプのACアダプターの中にはE-Markedケーブルを挿すだけでデバイスが接続されたと判定される (他ポートの出力が制限される) ものもあるらしいですが、ELECJET X21はこの点マシな仕様となっています。
5Aケーブルを使うとNintendo SwitchのTVモードが有効にならない
※ C1・C2どちらも同じ挙動でした
5Aケーブルを使った場合のみ、Nintendo SwitchのTVモードが有効になりません。
USB PDアナライザー DTW2U3でUSB PDのパケットを確認したところ、以下のような理由でした。
- ELECJET X21が上限3AでPDOを通知する
- Nintendoドックがまず15V 0.5Aをリクエストする
- その後Nintendoドックが15V 3Aをリクエストする
- ELECJET X21がケーブルのeMarkerと通信し、5Aケーブルであることを確認する
- ELECJET X21が上限5AでPDOを再通知する
- Nintendoドックが15V 0.5Aをリクエストする
- ここでNintendoドックが15V 3Aを要求すればTVモードが有効になったと思われるが、実際には15V 3Aを要求しなかった
ELECJET X21は5Aケーブルを使用した場合、最初に上限3AでPDOを通知した後に上限5AでPDOを再通知する仕様となっているようです (いわゆるSplit PDO) 。そしてNintendo SwitchのドックはSplit PDOのACアダプターでは期待通りの動作をしてくれないらしく、そのせいでTVモードが動作しなかったようです。
なお、3Aケーブルを使用した場合はE-MarkedケーブルであってもPDOが再通知されることはなかったため、TVモードも有効になります。
熱い
65Wで出力しつづけると結構熱くなります。サーマルカメラなどは持っていないので勘ですが、即座にヤケドするほどではないもののずっとは触り続けられない程度には熱かったため、多分50〜60℃ぐらいだと思います。
USB-C1・C2が挿抜しづらい
USB Type-Cポートがキツいです。コネクターそのものがキツいというより、外装の白いプラスチック部分が若干小さくてそのせいでキツいって感じです。
USB-A同時使用でC2をPCに接続・切断すると、デバイスが接続・切断された判定がされる
USB Standard-Aを使っている状態でUSB-C2にPCを接続・切断すると、挿抜するたびにPCからデバイスが接続・切断された判定がされます。 (USBメモリとかを接続したときと同じ感じ)
まとめ
Qualcomm Quick ChargeやSamsung Adaptive Fast Charging、HUAWEI QuickCharge・SuperCharge 22.5Wに対応しているACアダプターはそこまで珍しくありませんが、それに加えてPPS 5AとOPPO VOOCに対応しているというのがELECJET X21の特徴です。日本で販売されたスマートフォンのほとんどはこのACアダプター1台で急速充電できるでしょう。
一方で、5Aケーブル使用時のSplit PDOやUSB-C2とUSB-Aの同時使用時にC2がUSBデバイスとして認識される (?) 等、USB PD充電器としての挙動はベストではありません。いずれかのポートでデバイスの接続・切断が発生する度に全体の出力が一瞬ストップするのも個人的には好きではありません。
これらの点から、誰にでもオススメする製品ではないです。対応している急速充電規格の多さがセールスポイントなので、スマートフォンを複数台使っている人、使うスマートフォンが頻繁に変わる人は1台持っておくと便利かもしれません。